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Posted by MCBT - 2018.02.02,Fri
※当サイト初見の方はこちらをご覧ください※

峰、誕生日おめでとう!
外伝16巻巻末の誕生日ネタ。一年越しの宿題になってしまってすみません。
外伝から発想の、峰がもし死ななかったら?のif捏造「夢」話、「聖剣への夢」の続き。
男女CPもの、エルシド×峰、になります。

原作本編にも外伝そのものにもつながらないパラレルに続き書いてどうするんだ、なのでそれでもOKな方だけよろしくです。
夢幸せ話なのでお祝い話にしてみました。
当サイトのオリキャラはいない時間軸です。


 「12月27日―新たな朝(あした)」への拍手とコメント、ありがとうございました!


拍手[1回]


---


 山羊座の黄金聖闘士エルシドが任務の報告に教皇の間に行くと、そこには何か所用があって来ていたらしい教皇の兄、ジャミールの族長ハクレイの姿もあった。
「ご苦労だった」
 教皇の言葉にエルシドは黙って頭を下げる。
「一見したところ無事なようだが…その聖衣も完全に無傷ではあるまい。シオンに点検してもらうがよい」
 ハクレイが口を添えた。
「はっ。ですが…」
 聖衣がなければ次の任務が受けられない。聖戦が近づいている最近は修行も聖衣をつけてすることが多いのだが、聖衣がなくてはそれもままならない。エルシドは困惑したように顔を上げた。ハクレイが何事か教皇の耳に囁き、教皇がうなずきかえしていた。
「このところ任務続きであったろう。体の傷を癒す間と聖衣の修復を待つ間として、今日から三日間、お前に休暇を取らせる。無理して修行などせず、しばし休むが良い。間もなく聖戦が始まる。久しぶりに昔馴染みにでも会って来れば良かろう」
「はっ…」

「さてどうしたものか…」
 聖衣をシオンに預け、エルシドは思案に暮れた。負った傷はたいしたものではなく、聖衣なしの修行ならできなくはないが、教皇にああ言われた以上、やるわけにもいくまい。昔馴染みと言っても…。聖域以外に行く場所など、エルシドには一か所しか思いつかなかった。


 この日を一人で迎えるのは何回目だったか。峰は白い息を吐きながら空を見上げた。よく晴れてはいるが、寒い日だった。まあ例年のことではある。少しずつ日は長くなっているが、寒さはむしろ今頃の方が厳しい。この日を一人で過ごすのも。
 手で顔をぴしゃりとたたき向き直ったとき、所在なさげに立っている人影が目に入った。
 まさか、今日この日に?

 いつぞやのように任務帰りにたまたま通りかかって寄ったのではないようだ。今日は聖衣を携えていない。
 聞けば聖衣が修復中で強制的に休暇を取らされたとのこと。なるほど合点がいった。おそらくハクレイ殿あたりの差し金だろう。峰は今日が何の日か覚えていなさそうなエルシドに内心苦笑したが、それでも、休暇で思い出してくれるところがここで、嬉しかった。
「会いたい者など、お前以外に思いつかなかった」
 ぼそりとエルシドがつぶやく。峰はエルシドに飛びつくと唇を合わせた。その言葉以上の誕生祝いはなかった。

「また傷が増えたな」
 修行中から生傷の絶えない身だったが、エルシドの体には前には見たことのない多くの傷の跡があった。かなりの深手だったと思わせるものもある。聖域の最高位の闘士、黄金聖闘士であるエルシドがこれほどの傷を負うとは、最近の任務が苛烈であることをうかがわせた。聖戦が近づき、厳しい任務が増えているのだろう。だからこそ、聖域はエルシドをここへ来るように仕向けたのだろうと得心がいった。
「大したことはない」
 エルシドにとって、過ぎた戦いはすでに過去のもののようだった。
「私にも小宇宙の癒しが使えればいいのにな」
「お前には必要ないさ」
 エルシドが微笑む。俺にとってはな、と唇が動いた。まったく、こいつはいつの間にそんな言い方を覚えて…!
 峰はエルシドに身を寄せた。今ここにある確かな体温を感じるために。思いが通じあってからも、次の逢瀬の約束も、ましてや将来の展望など語ったことはない二人だった。互いの求める『聖剣』の形については語っても。
 これが私たちの在り方だ。それでいい。私たちは、ともに『聖剣』のさらなる高みを求め続けるだろう。この命のある限り。


---


そもそもはただの休暇話を書きさしで放置していたのですが、これって誕生日話にできるんじゃ?と思って手を加えたもの。昨年度のエルシド誕の二つ目の話にする予定をさらに変更。

本来はカタラニア戦の直後を想定していたのですが、峰が生きている世界ではカタラニア戦はあのままでは成り立たないのでぼかすことに。

両思いになっていても、エルシドはきっと峰の誕生日を失念していると思う…^^;
昨年すっぽかしてしまいましたが、峰さん、誕生日おめでとうございます!

 

以下、本文に入らなかったパートその1

 聖域では山羊座の聖衣を前にシオンが首をかしげていた。
「この程度の損傷は自然修復できるはずだが…」
 師匠を兄に持つ教皇にそのことが見抜けないはずはないのだが、わざわざ小宇宙でエルシドの聖衣は預かって損傷を確認して修復するようにという連絡があったのだ。まあ、あの方には何か考えることがあったのだろう。先頃まで来ていた師匠が何か入れ知恵していたようだしな。
 シオンは自分の仕事に集中することにした。


本文に入らなかったパートその2、ギャグっぽいところ。後味を損ねたくない方はスルーで。
誰か漫画で描いてー

「…で、今日が本当に何の日か覚えていないのだろうな」
「は……?」
「まあ、お前が覚えているとは思わなかったがな。ハクレイ殿が何か言っていなかったか?」
「……? ……! すまん!! 祝いどころか手土産の一つも持たずにまったくの手ぶらで…」
「いいさ。お前が覚えていたらむしろ驚きだ」
「本当にすまん…」
「いや、来てくれたことが何よりの誕生祝いだ」

ということで結局は丸く収まるわけですが。駄目じゃんエルシド…でもあいつには多分そんな甲斐性はない…。
 

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非公開
自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

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