「刹那」

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外伝を読んで、原作の格好良く戦うエルシドのお話を求めて来られた方はすみません。
外伝の流れと全く無関係なうちのカップルの話（×オリキャラヒロイン）。久しぶりの逢瀬。

外伝が終わるまで更新しないとか言っておりましたが、書いてしまったので出してしまいます。
話が進むとなお出せなくなるかもしれないし。

（2012.3.20追記）
大事なことにふれるのを忘れていました。
ＬＣサーチが６月で閉鎖されるとか。今までの感謝はもちろんですが、今後どうしようか悩み中です。
 

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　しばらく会っていない。
「ご苦労であった。では悪いが今一度…」
　この一月ほど、ほとんど聖域をあけていた。たまに戻ってもすぐの任務が入り、その日のうちに出ることもあった。今日はまだ陽のあるうちに戻れたし、次の出立は明朝からで良いとのことだった。今晩は磨羯宮で過ごせるだろう。
　女官が置いていった食事をとり、何か飲もうかとエルシドは棚を開けた。棚の中には最近ティソナがよく持ってきてくれる何種類かの茶が収められていた。適当に入れておいた皿やグラスも、いつの間にか使い勝手にあわせてきちんと並べられている。
「いつも後片付けをさせてしまっているな」エルシドはひとりごちた。
　どのくらい会っていないだろうか。エルシド自身も多忙だったが、たまに聖域に戻った日にはティソナも任務で出ていたようで姿を見かけなかった。聖戦の本格的な始まりも近いとささやかれる今日この頃、聖闘士たちの日々は決して安穏なものではなかった。
　そのとき、すでに陽の落ちた中、在宮の黄金聖闘士をはばかるように、十二宮を馴染み深い小宇宙が密やかに上ってくるのが感じられた。エルシドは宮の入口に出ていった。
「エルシド様…」
「今、戻りか」
「はい。あの、なるべく早く報告が欲しいと言われていたので…」
　エルシドは上方を振り仰いだ。
「まだお休みになってはいらっしゃらないだろう。行って来い」
「はい」
　ティソナは階段を上っていった。

　教皇に報告を終え、ティソナは肩で大きく息をついた。朝から気の抜けない疲れる任務だった。このところ聖闘士には任務の出動が多く、黄金聖闘士の預かる宮も今日は半分以上主が留守だった。磨羯宮の入口のところで立ち止まった。エルシド様もこのところずっと留守だった。今朝までは確かいなかったので、少なくとも数日に渡る任務だったはずだ。きっとお疲れに違いない。そのまま通り過ぎようかと思っていたとき、奥から覚えのある微かな甘みを含んだ香りがしてきた。これは確か…。
　ティソナが居住区の厨房に顔を覗かせると、エルシドが茶をいれていた。
「お前も飲んでいけ」
「エルシド様、すみません！」
「いや、丁度自分で飲もうかと思っていたところだ」
「いただきます」
　やっぱりこの香り…いつか自分が持ってきた疲れがとれるお茶というのを覚えていてくれたんだ。
「おいしいです…！」
「それは良かった。…だがお前のようにうまくいれられている自信はないがな」
　エルシドは自分のカップから浮いていた茶葉のかけらをつまみ出しながら苦笑した。
「そんなことないです！　そう言えば、以前天秤座の童虎様にお聞きしたことがあります。東洋ではお茶に葉の茎が入っていると縁起がいいんですって。だから葉が入ってても大丈夫ですよ」
「そうか」
「ええ…それに、本当においしいです」
　ティソナは茶を飲みながら目を閉じ、息を吐いた。疲れた体に茶が染み入る感じがする。そして目を開け、微笑みかけた。
　エルシドがティソナの傍らに来た。
「お前の顔を見るのは久しぶりだ」
「エルシド様、お忙しかったですから」
「お前もな」
　エルシドがティソナの顔に手をふれた。
「…いいか？」
「はい…。でもエルシド様の方こそ…」
　口づけがその答えだった。ティソナもそれに応えた。手が、体が、勝手に動き、エルシドの背を抱きしめる。
「…会いたかった…」本音の言葉が口をついて出る。
「ああ」エルシドの声が耳元で響く。「俺もだ」
　朝までの、束の間の時。

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疲れていても、久しぶりに会えたら一緒にいたいよ！
日が暮れても報告に来たのはもし会えたら会いたいと思ったからだよ！
うちのカップル、こんなことばかりしているようですが、そんなに毎日会えるわけじゃないんだよ、という言い訳。
エルシドは口下手そうだから語らいとかは苦手そうだし…。

茶柱の縁起話は中国とは関係ないかも。人に言ったら御利益がなくなるってのも聞いたことありますが…。

当サイト、あんまりらぶらぶな感じがしないって言われました。
自分の脳内ではらぶらぶなんだけど、かなり自粛しているつもりだからだろうか。
 

峰さんとはどんな関係だったのか、激しく気になる今日この頃。