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―KEN NO CHIKAI― since 2010.10.23
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Posted by MCBT - 2012.08.30,Thu
※当サイト初見の方はこちらをご覧ください※

ずいぶん前に作った「十二宮で12のお題」の第1回。アルバフィカ編。
この「お題」は、とりあえず書けたところから。
オリキャラは出ません。

久しぶりの更新です。
今月すべり込み。

 


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---


 それが普通の生活でないことは知らなかった。
 物心つく前から「先生」と二人で暮らしていた。赤い薔薇の咲くその園の中にほかに何も生えていないことも、先生のほかに誰もいないことも、それが私にとっては「普通」のことだった。優しい先生との暮らしは楽しく、私は幸せだった。
 やがて「修行」が始まった。それさえも、そういうものだと思っていた。ふだんは優しい先生も修行のときは厳しかったが、うまくできたときの先生の笑顔、それを見ることが、そのころの私の唯一の望みだった。
 修行を始めて間もない頃。先生は一つのペンダントを差し出した。
「これを、お前に渡しておこう。お前の親の形見だ」
「親とはなんですか?」
 私がそのペンダントをじっと見つめながら言うと、先生はややショックを受けたような顔をした。
「そうか…」
 それからは、先生はさらにいろいろなことを教えてくれるようになった。ときどきは私を伴って「外」へも出るようになった。次第に私は、今までの生活が一般的なものではないと知るようになったが、別に他の者をうらやむ気にはならなかった。私はこの生活しか知らないし、先生が私を慈しんで育ててくれているのはわかっていたので、私には不満はなかった。
 それでも「外」の世界を知るにつれ、私が来るまでたった一人で暮らしていた先生は、とても寂しかったのではないかと思うようになった。私が魚座の「赤い絆」を結ぶことを決意したのも、先生のことを思う気持ちからだった。それは私が考えていたのと違うものだったと思い知らされたけれど。
 先生は私を、自分より強い魚座の聖闘士になれる者と見て、私と「赤い絆」の儀式を行う決意をしたという。近く起こるであろう聖戦のために。私は次代の魚座になるべき者を見つけ出してはいない。私がこの聖戦で倒れれば、毒の血の継承は途絶えることになる。そうなれば、この後の魚座の聖闘士は、単に耐毒の体質を持っているだけの者ということになるだろう。
 聖戦はいずれ終わる。このあとしばらくは比較的穏やかな時代が続くはずだ。もし私が生き残ったとして、私は後を継ぐ者と「赤い絆」を結ぶ決断が下せるだろうか? 毒薔薇と共存するために、人と交わることの許されぬ孤独を求める決断を。もし聖戦を控えた時代だったら、自分より優れた素質を持った者を見出したなら、私も先生と同じように、自分の命を惜しむつもりはない。だがこの後の時代には、それだけの必要があるのだろうか。
 冥闘士の小宇宙が迫ってきている。すべてはこの聖戦の済んだ後のこと。次代のことは今は考えるまい。私は自分の選択を後悔してはいない。この血を誇りに思う。先生から受け継いだこの血を。人と触れあえずとも、人の道を進むことはできる。それは先生をはじめ、多くの人から学んだこと。
 魚座が守る双魚宮は十二宮最後の砦だ。だが最上段の双魚宮にいたのでは被害が広がる恐れがある。聖域の周りには一般の人々の住む村もある。地上を守る聖闘士たる者、しかも黄金聖闘士が聖域に常駐している現在、それらの村々も襲わせるわけにはいくまい。村で戦うことはできれば避けたい。戦いによって、家だけでなく人への被害も出る。私の血が流れればそれによっても害を受ける者が出るやもしれぬ。私の血は私の武器、それは敵にのみ向けられるもの。この血は毒であっても、この身は人々を守るもの。この時代の、魚座の聖闘士として。それこそが、私の誇り。
 他の者たちを信頼していないわけではないが、のんびり待っているのは性に合わぬ。とはいえ、すべての道に自ら立つことはできない。だから、双魚宮から教皇の間までの道と同様、聖域の近辺は、すでに猛毒の魔宮薔薇で覆ってある。近隣の村への道にも仕掛けを施しておいた。あとは目の前に現れた奴らを直接たたくのみ。冥闘士は一人も逃さぬ。誰一人この私の前には立たせてはおかん。薔薇の園の中に立つ者は、この私、ただ一人で良いのだから。


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アルバフィカは闘志にあふれた人だし、一般人への心遣いもする人だから、上で待ってるのは嫌だったのかも。

ルゴニス先生、アルバフィカが赤ん坊のときはどうしていたんだろう…山羊の乳とかもらいに行っていたんだろうか、一日に何回も? 動物や乳母とかは魔宮薔薇の園にはおいておけないからなあ。

この話、ずいぶん前から書きかけていたのですが、そうこうするうちに外伝4巻にいろいろ出ちゃいました。
ですが、あの形状はネックレスと言うよりペンダントでは?(>手代木先生)
書きかけを切ったり貼ったりしたのでちょっとまとまりが悪いかも。

毒の血の継承はいつからのことなんだろう? 黄金聖闘士は常に全員がそろっているわけではないはずなんだけど、あのやり方だと魚座の黄金聖闘士は空位が作れないし、交代が早くて常にがかなり早死のような。まあ狭間の時代なら少しは長生きできるかな。

アルバフィカはもし生き残ったら、次代の者と「赤い絆」は結ぶだろうか。自分は今は後悔していないし誇りにも思っているけれど、それを継がせるのは? ルゴニス先生も迷っていたし。幸か不幸か、アルバフィカがその決断をする必要はなかったわけですが。

外伝で、アルバフィカが留守の聖域で、双魚宮から教皇の間までの道が魔宮薔薇で覆ってありましたよね。あれはいつもああなっているのでしょうか。NDの十二宮地図もそうなっていたみたいなのですが。しかしそうするとシオン様はどうやって通ったのだろーか。セージ様は?
黄金聖闘士クラスの人は一瞬で通り抜けられるのだとしても、報告に来る他の聖闘士や雑兵・女官とかはどうするのでしょうか?(抜け道か?―無印TVアニメ参照(笑))

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自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

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