拍手お礼話として、何かできないかと考えていました。すっかり遅くなりましたが…。
レグルス外伝関係、外伝その後シリーズ第7弾「精霊の地」にもつながっているかな?
ファリニシュ話。コナー、モリアス。クルワッハもちょっとだけ。
クルワッハさんとモリアスさんに萌えていたろん様にはこんなもんでは物足りないでしょうが…
オリキャラは出ません。
いろいろ過去の経緯、捏造しまくっています。というか捏造しかない。
レグルス外伝ってそういうこと描いてあったんだーとか納得しないように願います(^^;)
今度の日曜日はいよいよパラ銀ですね!
当日はエルシド受アンソロの主催さんのお一人「J15:Senor I Love You」で店番のお手伝いをする予定です。
手際の悪い売り子がいたら、どうぞ大目に見てやってくださいませ。
お買い物リストを作ったら、いつにもまして多くなった気が。売りきれる前に全部回りきれるのか…!
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モリアス様は大変心の広い立派な方だった。親類はもちろん近隣に住む者や何かのことで知り合いになった者、一度でも城に勤めたことがある者などをすべて「縁のある者」として大切にされ、何くれとなく心配りをされていた。私の親が亡くなったとき、そんな「縁者」の一人として、そのままでは路頭に迷うしかなかったまだ幼い私を城に引き取ってくださった。「縁者」を見捨てることなどあの方には考えられないことだったのだ。きちんとした教育も受けさせてもらったし、望むことは何でもやらせてもらえた。実はモリアス様の家は、決して裕福とは言えなかったのだが、子どものうちはそのことに気づくことはなかった。子どもに不自由さを感じさせたりしないようになさっていたことを知ったとき、私の感謝の念はいや増した。
モリアス様の家庭は暖かい雰囲気に満ちていて、やがて生まれた一人娘のコナー様を囲んで、御一家は仲睦まじく暮らしておられた。コナー様の世話係となったときはとても誇らしかった。コナー様がすくすく成長されるのを見ることが、御両親とともに私の喜びとなった。関わりが強くなるにつれ、恩人への感謝の気持ちに加え、私の御一家への思いは深まった。コナー様は大変かわいらしい上に利発なしっかりしたお子で、私は間もなくこの方をお守りするのが自分の使命と心に決めた。
近隣に住むクルワッハという男には、何とはなく気になるものを感じていた。何やら危ないことに手を染めて金を儲けているとか、黒魔術に手を出しているとか、うさんくさい噂の絶えない男だった。モリアス様への態度も妙に馴れ馴れしく、私たち使用人は皆眉をひそめたものだった。モリアス様はそれでも「縁者」の一人として、その男とつきあっておられた。
コナー様はまだ幼いし大変気立ての良いお子なので、親しげに「やあ、コナー」などと声をかけるあの男にも「こんにちは、クルワッハおじさん」と明るく挨拶を返される。
古くから続く由緒ある家柄であるこの家の「格」を狙って、親子ほど年の違うコナー様に求婚でもしてくるのではないかと気が揉めたときもある。失礼を承知でモリアス様に伺ったことがある。
「旦那様、コナー様はまだ子どもです。いずれコナー様にはもっと年も近いふさわしい方が現れるかと…」
「あの男とのことは考えていないよ。まだコナーにそういう話は早いだろうし、いずれにしても、コナーが望まないような縁談は進めるつもりはないよ」
モリアス様は笑ってお答えになった。そこで、その件に関しては私は当面は心配しないことにした。
しかし私の疑念がなくなった訳ではなかった。なぜなら、奥様が急に亡くなられたのは、あの男の家の晩餐に招かれた直後だったからだ。以来、私はより一層、コナー様の身辺に気をつけるようになった。剣も習うことにした。だがあの男はそう簡単にはその正体を現さなかった。
やがて、魔眼のバロールの復活を図っている者がいるという噂がささやかれるようになった。さすがに懸念されたモリアス様は、古くから親交があるというギリシャの聖域に使いを送った。精霊が土地に融け込んでいるこことは違い、今でも体ある神を奉じるという聖域なら、万一邪悪な存在が復活しても何か対抗する術があるかもしれないと思われてのことだった。正直、本当に何か助けが来るかどうか私には疑問だった。それに、はるか遠くの異国の神がいたとしても、何ができよう? だが打てる手は打っておくべきなのだろう。私は私にできることをするまでだ。
「コナー様、そんなに速く駆けられては危ないですよ」
「大丈夫よ、ファリニシュ」
元気な少女に育ったコナー様は遠乗りが好きだった。まだお小さいながら、かなり巧みに馬を操られる。その日も城から少し離れた湖まで二人で馬を駆けさせてきた。背後を森に囲まれたその湖は神秘的な美しい場所だったが、同時に何が出てきてもおかしくない危うさも感じた。
「そろそろ戻りましょう、コナー様。野盗や悪い妖精が出てこないとも限りませんよ」
「ええーもう? ファリニシュったら急かしすぎよ」
湖岸にすわってのびをしていたコナー様は不満そうにかわいらしく首をかしげた。そのとき背後の森の中で動くものがあった。こちらが小勢で与しやすしと見て姿を現したのは、いかにも下卑た感じのする一団だった。私は内心自分の迂闊さを呪った。少し離れたところにつないだ馬たちとの間にも入られている。
「ほう、見たところいいところのお嬢様じゃないか。たんまり身代金がいただけるな」
「残念だがそうはいかないな」
私は剣の束に手をかけながら言った。
「ほう、なんでだ?」
「モリアス様はお前たちに渡すような金など持ちあわせてはおられない。それに…」
「それに、なんだ?」
「お前たちはコナー様に指一本ふれられないからだ!」
叫びざま、私は剣を抜いて斬りかかっていった。二、三人は素早く斬り捨てた。だが人の血肉を斬った剣の斬れ味は長くはもたない。なんとかコナー様だけでも馬に乗せてお逃がせしなくては…!
そうして何人目かを斬ったとき、鈍って抜きそこなった剣が、倒れる相手の体に刺さったまま私の手からもぎ取られた。…しまった! コナー様を背後に守りながら、私はじりじりと湖の淵近くに追い詰められていく。
これまでか…!と思ったとき、後ろに伸ばした手が何かにふれた。剣の柄のようだった。なぜそこに剣があるのか考える間もなく、私はその剣をつかむと正面に迫っていた首領に斬りつけた。
鮮やかな斬れ味だった。軽く感じられるほどしっくりと手になじむ。
「まだ来るか?」
私が叫ぶと、首領をやられて浮き足立った残りの者はばらばらと森の中へ逃げていった。
「コナー様、お怪我はございませんか?」
「うん、大丈夫」
目前で起きた流血騒ぎに、震えながら、それでも気丈にコナー様は答えた。
「恐ろしい思いをおさせしてしまってすみません」
「ううん、平気。ファリニシュこそ、大丈夫?」
私を心配させまいと、一生懸命笑顔を作ろうとする。そのうえ、私の体まで気にかけてくださる。
「大丈夫です」
抱きしめたコナー様の顔が急に驚いたようにぽかんとなる。私が背後の湖を振り返ると、湖面に立っている半ば透き通った人影が見えた。
『その剣は役に立ちましたか?』
私は手にした剣を見下ろした。人を斬った後なのに、水のように滑らかだった。
「はい、危ないところへのご助力、ありがとうございました、良きお方様」
私は妖精=「良き人々」へ礼を取ってひざまずいた。剣を差し出して返そうとすると、また声がした。
『取っておきなさい。それは光の精霊の宿る剣ライトニングスレイブ。しばらくはそなたが持っているがよい。その光の神の裔を守るために』
そしてすうっと姿が消えた。妖精の『しばらく』はどのくらいの期間だろうか…? 私はいつの間にか足元に置いてあった鞘を取ると、剣を収め立ち上がった。
「さあ、帰りましょう、コナー様」
「う、うん」
光の精霊の宿る剣か…。魔術の心得のある村のおばばのところに行って、昔少しばかり習った技を思い出さなくてはな…。この近辺はやはり最近物騒になってきている。コナー様の家系は光の神、ルー様につながるという。その加護が篤いらしいといっても、気まぐれな妖精の助けがいつもあるとは限らない。どのようなものからも、この優しき小さな女神を守れるように。私は思いを新たにした。
「私の娘の守護者になってくれないか?」
「はい、喜んで。命をかけて、必ず」
それが私の、生涯の誓い(ゲッシュ)だ。
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ケルト神話系なのでアーサー王伝説をちょっと利用(笑)
妖精のことは「いい人たち(グッドピープル)」と言わないといけないんです。悪さをされないように。
「誓い(ゲッシュ)」は「~してはいけない」というタブー的なものが多いそうですが。
モリアスお父さん持ち上げすぎ? あのひげは無精ひげじゃなくちゃんと手入れしているのかな?
ファリニシュさんの動機がいまいち弱いか。
精霊の言葉はコナーちゃんには聞こえなかったとかにしておこう。
クルワッハさんをもっと出そうと思ったんだけどな。
クルワッハさん、個人の人格はバロールに飲み込まれちゃったよね。あの人もルー、ひいてはバロールの子孫だったんだろうか。
しかしクルワッハって、ちょっと調べたらバロールよりすごそうな名前だったので驚き。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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