外伝その後シリーズ第9弾。聖戦直後~外伝より前。その後じゃないな。
テネオ、セリンサ。シオン様も少し。アルデバラン(ハスガード)関連。
オリキャラは出ません。
夏に公開されるCGアニメ映画「LEGEND of SANCTUARY」、いろいろ情報も出てきて楽しみです。
TVアニメ「Ω」もいよいよクライマックスへ。
LC外伝は双子座編が開幕! 格好いいイケメンはいいのう。
『弱い者を守る強さと優しさを持って生きろ』
その言葉が、俺の目標。
「どうか俺を聖域の…貴方の力にならせてください!!! 教皇シオン様」
ようやく帰り着いた聖域は酷い有様だった。ハーデス城、続くロストキャンバスへの進軍で戦える者がほとんど出払っていたこの聖域に、ハーデス軍の冥闘士がやってきていたらしい。教皇の間も、床の敷物は裂け、どす黒い染みが残っていた。
「童虎と二人でここに倒れていた者たちはなんとか慰霊地に葬ったがな…」
シオンはそのときのことを思い出して顔を曇らせた。ほとんど戦えない者たちがなすすべもなくやられていた。それでも精一杯抵抗しようとした跡。
「すぐにこちらを…」
「いや、ここは後回しで良い。とりあえず執務に支障はないからな。それより聖域の他の場所を早くなんとかせねばな」
「わかりました!」
テネオはまず十二宮に上がる階段をふさいでいる瓦礫を片付けることから始めた。巨大な岩や折れた柱を、テネオは両肩の上に抱え上げ、せっせと邪魔にならないところへと運んだ。その様子を見たシオンは改めて驚いた。
「さすがアルデバランの弟子、お前はすごい怪力だな」
「そうですか? 別に普通ですよ」
本人にとっては『普通』かもしれないが、聖闘士候補生としても決して『普通』ではないと思うぞ…。自覚なく発揮しているその力だけでも、シオンは十分にその将来を感じていた。
*
貴方の優しさと強さを引き継ぎたい。
それが私の願い。
聖闘士になるのはやめたものの、私には何ができるのだろう。
ハスガード改めアルデバラン様についてクレタ島からここ聖域に来て、弱い者を守れる者になりたいと聖闘士候補生になった。でも私はテネオのように聖闘士になる修行に集中できなかった。戦うことがもともと性に合わなかったのかもしれない。
アルデバランが引き取った子どもたちはそれぞれ自分の道を見つけて去っていき、聖闘士候補生として残っていたのはテネオとセリンサ、そして二人によくなついていたサロだけだった。そのサロももういない。
子どもの泣き声に顔を上げると、まだ小さな男の子が道端で泣いていた。
「どうしたの?」
「父さんと母さん、死んじゃった…」
また冥闘士が出て近隣を荒らしたようだ。聖闘士はおろか、雑兵になることすらやめたこの身では、もはや戦うことはできない。たとえそのとき傍にいたとしても、この子の親を守ってやることはできなかっただろう。
子どものか細い泣き声が心に刺さる。親を亡くすのは辛い。まだ子どもである身で、一人で生きていかねばならないのは。だがそれでも生き残ってしまった者は生きてゆかねばならない。せめて、誰かが傍にいてくれれば心強いのに。誰かが生きていくためのことを教えてくれれば。
「おいで…」
セリンサは声をかけた。私にも何かできることがあるかもしれない。聖闘士ではなくても、子どもたちを守るために。戦場に立つばかりが戦いではない。ただ生きていくことにもきっと意味があるのだから。
*
セリンサがあの心優しき巨人コル・タウリのように、牡牛座の黄金聖闘士アルデバランのように、寄る辺のない子どもたちを育てることに身を捧げようと決心した頃、新しい牡牛座の黄金聖闘士が決まったとの知らせが伝わった。
次代を守り継ぐ二人の道が、始まっていた。
『巨星』への思いを紡ぎ、織りなしながら。
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テネオくんって自分の怪力をすごいことだと思ってないよね…。すでに聖闘士になってたテンマくんが6巻で「げ…」みたいな顔してたw
セリンサちゃんって「先生」って言われてて薬草の話とかしていたので、お医者さんになったんだと思っていたんだけど、勘違いだったっぽい。孤児を育てている保育士的な意味での「先生」だったか。
公式がすっかりいい話だったので、付け加えるようなことはない気がしますが。
あまつさえ、同人の方の作品にも良いものがあってですね…。公式とごっちゃになりそうです。
どんどん書くことがなくなっている感じですが、なんとか。
もし無意識に何かネタかぶりしていたらすみません!
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
何かありましたら
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