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聖域に帰り着いた。
初めてエルシドと過ごした夜の後。ティソナは頭を振って、何度目かの雑念を払った。今は黄金聖闘士と部下の聖闘士。仮面の下でティソナは口をぐっと引き結び、気を引き締める。
十二宮に上る階段の下でエルシドは足を止めてこちらに向き直った。
「お前は今日はゆっくり休め。報告は俺が行っておく」
その顔にわずかな笑みが浮かぶ。それだけで、胸が締めつけられるように嬉しい。
「はい」
うなずいたとき、微かな音が聞こえた。エルシドも顔を上げた。
「これは…」
その音は、エルシドの纏っている聖衣から聞こえるようだった。
「黄金聖衣の…共鳴?」
そう言えば、先日空位だった最後の黄金聖衣、獅子座の主が決まったと聞いた。ただ今日までは、聖域に黄金聖闘士は全員がいたわけではなかった。エルシドのように任務であけていた者が帰ってきたのだろう。微かな共鳴は、その者がまだ聖域から少し離れたところにいることを示していたが、間もなくこの聖域に十二人の黄金聖闘士がそろう。
それは聖戦の始まりをも意味する。
「いよいよだな」
「はい…!」
エルシド様にとって恥ずかしくないように。部下として。聖闘士として。それ以上の気持ちも含めて。
今日が、始まりの日。
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久しぶりに甘いの書きたい!と思ったのになぜかこうなった。
ティソナの決意の朝。
このあとシオン様が帰ってきて…というところですが、あれって2年前だから、シオンと童虎は16歳ですよね。このときテンマは聖域に来たばかりで13歳、よく考えると童虎とテンマは三つしか年が違わないんですね。テンマはまだ候補生で童虎はもう黄金聖闘士ですが、童虎は黄金聖闘士になってどのくらいたつのだろうか。エルシドが黄金聖闘士になったのが16歳以上なのですが、それって結構遅いのか? 外伝の「五年前」があの若さなので、もしかしてあれって17歳くらいで初任務に近かったり…?とか、思考があらぬ方へ転がっていく夜中w
黄金聖衣の微かな共鳴で聖戦の始まりの予感、ていうのが書いてみたくて。
それと「始まり」をかけてみました。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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