パンタソスとエルシド、アニメ展開に余計な蛇足、というかパラレルかも。
エルシドの夢は『聖剣』だけど、それとは別に『会いたい人』って言われて誰か出ないのかな、とつい思って。
あのアニメ展開で十分!という方はスルーで。
※うちのオリキャラヒロインのネタ入ってます。※
ちょっとだけ、捏造過去話「黒髪の少年」も関連してます。
「ねえ、知ってる? ここは夢界の中で人々の夢を司る場所、ファンタジー。どんな夢でも見られるのよ。どんなことがしたいの? 会いたい人はいる? 何でも貴方の望むまま」
体の自由が奪われる。気づくと、いつの間にか周囲には別の光景が広がっていた。目の前の懐かしさを誘う後ろ姿は両親か? 窓の外には故郷の村が見える。もはや失われた場所。
『どうしたのだ、エルシド?』
『何をぼんやりしている? 私がどんどん追い越してしまうぞ』
フェルサーと峰の笑顔。山中の修行地。それも過ぎた日々。
一転して、聖域。部下たちが後ろに控えている。目の前には黄金の翼。
『…わかっているはずだがな』
何を? 俺はまだ到達していない。自らの拳だけで未来を切り開くことができるのかさえわからない。貴方もアテナ様を聖域に連れてきたことを、ずっと思い悩んでいた。そこにつけこまれた。だが貴方は聖域にとって必要な人物。俺がその魂を解放する…!
「まあ、この人を助けに来たのね? そんなボロボロになってまで。この人が貴方のいちばん大事な人なのかしら?」
ゆらりともう一つの人影が現れる。胴体に大きな傷。血にまみれた姿そのままに。
「あら可哀想に」
パンタソスが手をちょっと動かすと血と傷が消える。恥ずかしそうに手を差し伸べる。
「お前は…」
ふいにティソナの表情が変わる。差し伸べかけた腕を下ろし、手をぎゅっと握り締める。
『エルシド様』
そして首を横に振った。
「なっ……幻が勝手に動くなんて…!」
動くはずのない幻。幻の中に宿る情念。
パンタソスはさらにエルシドの心の奥を探り出そうとした。
「剣?」
目の前に黄金の剣が現れた。なかば透き通った姿のティソナがわずかに立ち位置を変える。
「今の俺の見る夢とは、己の拳を究極の剣へと導くこと」
懐かしい人々。大事な仲間。守るべき者たち。彼らすべての願いを載せて。
パンタソスの前でひざをついていた姿勢から、エルシドがゆっくりと身を起こす。
「それ以外にない」
エルシドの腕が振り下ろされ、斬り裂いた。幻影ともども、その真後ろにいた夢の神を。
あれは俺の記憶の中から作り出されたもの、俺の願望にすぎない。ティソナなら、きっとあのようにふるまうだろうという。それでも確かに感じた。自らとともに斬れと微笑んだその存在を。
『貫いてください…貴方の道、貴方の夢を』
もはや存在しない者の、聞こえぬはずの言葉。
エルシドは一瞬閉じた目を開いた。
「…あと三神」
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うちの彼女、持ち上げすぎ?
ひっさしぶりの我が家のカップル話。彼女、もう死んでるけど。
15巻のバイオレート―アイアコスの絡みを参照しました。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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