外伝その後シリーズ第10弾。聖戦前。あんまり「その後」じゃないけど。
アルケスの語り(というよりイリアスの語り)と、アスプロスの語り。シジフォス関連。
オリキャラは出ません。
大変遅くなりましたが、「共闘」への拍手、ありがとうございました。
慰労の拍手のような気もしますが、それでも嬉しいです。
LC外伝は双子座アスプロス編も佳境です。さてどうなりますやら。
あとがきでちょっとだけ双子座編にふれてます。
「私に弟がいたんだ。血が繋っているのは半分だが」
彼は聖闘士になってから、親族とは連絡を取っていなかったという。
「それもいつぞや一般兵居住区が暗黒聖闘士に襲われたときに助けた子でね。勇敢な少年だと思ってはいたが。『夢を叶えにきた』と言っていたよ」
彼は独特の考え方をする。それゆえ孤高の人と見られがちで、他人に対してもあまり関わらない人だと思われていた。英雄と崇められながらも、人々からは敬して遠ざけられていたと言っていい。その彼が、控えめながら、実に嬉しそうに語るのだ。いや本当はもっと大っぴらに喜びたいのに、それを表す方法を知らないのかもしれない。本来は情の深い人なのだろう。
彼は、胸の病に蝕まれていた。放っておけばその命は間もなく尽きる。それでも、彼は新しい「自分」を生みだしたいと願っていた。その願いを叶えてあげたいと思った。力の石を渡し、彼の病の進行を止めるために力を使えば、この身もただでは済まないことは分かっていた。それでも。
聖闘士は、常に希望の闘士だから。
その弟は『英雄の弟』の肩書の重みにあえいでいた。彼には彼のスタイルがある。けれどまだそれを見い出せずにもがいていた。
彼が立派な聖闘士になった姿が私には見える。年長者として聖闘士たちを率いていくリーダーとしての姿。
だが同時にもう一つの姿も見えた。迷いにより自らの心の闇に堕ちる姿。
未来は定まっていない。それを決めるのは予言ではなく自らの意志。
私はただ祈るのみ。彼の行く道に幸ある出会いがあるようにと。兄とは違う風が、彼の行く道に吹き渡るようにと。
*
未来はわからない。神託など信じられるものか。
シジフォスが初任務でデルフォイの神託の書を取りに行くという。新任とはいえ黄金聖闘士を派遣するのだ。ただの使いで済むとは思えない。まだ未熟なシジフォスへの試練が待っているに違いない。
案の定、戻ってきたシジフォスはひどい手傷を負っていた。ハスガードとともに出迎えると、我々の方を見てちょっと複雑な笑みを浮かべた。なんでも俺とハスガードの幻影とも戦ったのだという。俺の迷いのせいだ、気にするな、とシジフォスは笑った。お前たちと実際に戦ったわけでもないし、と。他にも何かあったようだったが、シジフォスは多くを語らなかった。その任務には兄君のイリアス様も関わっておられたという。そしてイリアス様はこの件以降、聖域から姿を消した。
シジフォスはずっと英雄と言われた兄の影に振り回されていた。その兄がいなくなり、シジフォスの実力が知られるようになって、次第に彼を「兄の七光りで聖闘士になった弟」とそしる者はいなくなっていった。それでも、兄の死の報がもたらされたとき、彼は内心どこかでほっとしはしなかっただろうか。それとも、実力で兄を超えられることが永遠に証明できなくなって、歯がゆく感じたのだろうか。
その兄と甥を救えなかったことでハスガードに対しても含むところがあるだろうに、表向きは心の広い誠実な友として語るなど、相変わらずきれいごとの好きな男だ。名実とも黄金聖闘士の「年長者」となった者としてふるまっている。
だがシジフォスの心には迷いが残っていた。女神を連れて来たことに負い目を感じているようだったからだ。女神は聖戦の要、聖闘士として何をためらうことがあろう。小さな人間の情などに惑わされてどうなるというのだ。
そんなことなら、いつか俺が、その迷い、その心の闇を、払ってやることになるかもしれぬ。その惑う心だけでなく、その存在のすべてを吹き払う風となって。
---
今回はさっぱりできず…。もうちょっと何か思いついたら、またリベンジするかもです。
デフテロス外伝も発売日決まりましたが、今回にもまして一般人も聖戦後生き残りもいない…。
外伝10巻のシジフォスは、エルシドの知らないシジフォスの姿だよね。
もしエルシドの修行地が聖域で、イリアスさんを知っていたらどんな展開があったでしょうか…?
アルケスさんがレグルスのお母さんってことでいいよね? 「私たちの時間」って言ってるし、デフテロス外伝のあのシーンにもいなかったみたいだし。
アルケスさんはイリアスさんの病を癒すことに力を使ったことで寿命を縮め、レグルスを生んだ後まもなく、イリアスさんより早く亡くなったと解釈。直接的には肺病がうつったのかも。
外伝10巻はイリアスさんが結構かわいいなー。まだこのころはそんなに電波じゃないし。
アスプロスは候補生の後輩として、黄金聖闘士の同僚として、教皇選の対抗馬として、シジフォスをどう意識していたのか。自信たっぷりの無印のサガより、LoSのサガに近いかな?
アスプロス外伝でシジフォス関連まだ出るかもしれませんが、とりあえず外伝9・10巻までで。
16~17年前のアスプロスは本当にかわいいですね~それがあんな嫌みなイケメンのドヤ顔にw 好きだけどね!
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
何かありましたら
mcbt★br4.fiberbit.net
まで(★を@に)。
Powered by "Samurai Factory"