「花影」への拍手(×2)ほかコメントも、ありがとうございました!
外伝その後シリーズ第11弾。本編回想部分「アスプロスの乱」の直後。「聖戦後」は無理…。
デジェルと、制限を破っての「本人」。デフテロス関連。
オリキャラは出ません。
(2015.1.9追記)
※単行本外伝12巻が出る前に書いたので、おまけ漫画で出たことと食い違うところがあります※
LC外伝は最後の(と思われる)牡羊座シオン編が開幕です。
ああ、これが終わったら本当に終わってしまうんでしょうか…!
アニメの第3章と第4章も観たいです!!
小宇宙が炸裂した。
デジェルは自宮を飛び出し、上を、教皇の間の方を見上げた。何があった…?
階段を駆け上がろうとしたとき、上から降りてくる者がいた。先日良い友人になれそうだと思った男の姿。そして、その腕の中で朱に染まっているのは。
「デフテロス…?」
その顔にはもはや仮面はなかった。デフテロスは無言で宝瓶宮を通ろうとしたが、やや顔をしかめて立ち止まった。下の方から他の者たちが上がってくる気配を感じたのだろう。デジェルの方へ向き直った。
「少し、場所を借りていいか」
「ああ」
デジェルが身を引いて通すと、デフテロスは宮を通り抜ける者の目に入らぬ奥の方まで進んでいった。
「アスプロスは…」
「俺が殺した」
淡々とデフテロスは答えた。先日来、この兄弟にかけられた疑い。教皇は任せろと言っておられた。何らかの手をうったのだろう。次期教皇はアスプロスではなくシジフォスになるという噂。そして引き起こされた結果がこれか。
デフテロスは外が見える窓のあるところで立ち止まった。視線を落としてアスプロスの体を見て、わずかに困ったような表情を浮かべたのへデジェルは声をかけた。
「構わんぞ。どうせ私も任務から帰った後はよく汚す」
「すまんな」
デフテロスは血まみれのアスプロスの体をそっと床に下ろすと腕を上げた。窓の外が別の空間につながる。瞬間移動のできない十二宮だが、次元を操れる双子座の聖闘士にとっては何程のことはない。デフテロスがその双子座の技をマスターしているのは先日見た通りだ。
「邪魔をしたな」
再びアスプロスの体を抱え上げ、デフテロスはその空間に向かいながら言った。
「あれは…カノン島か?」
「そうだ。俺はあそこでもっと己を鍛えるつもりだ。アスプロスはまた来ると言った。おおかたハーデスと取引でもするつもりだろう」
「そうか」
デフテロスの顔には強い決意が見えた。真っ直ぐなその眼差しは揺るがない。それはデジェルの知るアスプロスにはないものだった。常に冷笑を浮かべていたようなその兄には。
「ところで、」デジェルは言葉を継いだ。「鍛える、と言ったな。誰か相手をする者はいるのか」
「いや。一人で十分だ」
「そう決めたものでもあるまい。競い合い、また戦う相手でなくとも刺激しあう者がいるのは良いものだぞ」
デジェルは自らの経験からそう思っていた。すでに独力で黄金聖闘士に適う実力を持つこの男だ。確かに、おいそれとその相手が務まる者はいまいが、一人で生きてきたというこの男には、もっと人との交流があった方がいい。
「そうだろうか」
「ああ。では、もしこれはという修行を求める者がいたら送ってやろう」
デフテロスは立ち止まって振り返った。
「つまらぬ者を寄越すなよ」
「わかった」
見送るデジェルへうなずいて、デフテロスは自分の開けた空間へ踏み込んで行き、間もなくその空間の穴は閉じた。
さて、どのような者なら我が友のお気に召すだろうか。
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うちのサイトとしては「乱」の直前かな。
今回も生き残りいませんね~。もともと死んでたコカロとエマのほか、デフテロス、アスプロス、デジェルはもちろん、ユンカースもね。
というわけでアスミタ編と同様、本人出演です。
デジェルさんの知らない頃、候補生時代のアスプロスは、まだ真っ直ぐないい子だったのですけどね。
デフテロス、引きこもりだったのにお友だち多いよ! 少なくとも黄金で三人! 人徳ですね~。
まったく、それに引き替えエルシドさんは…。
白銀レベルではデフテロスのお眼鏡には適わなかったですかね…。ペルセウスの人とかはデジェルさんが送り込んだのか、自分たちで何か評判を聞きつけて行ったのか。後者だったら自己責任だけれども、前者だったら…(^^;)
まあテンマくんはさらにその下のはずの青銅でしたけどね、彼は特別だからなあ。友も、両親も、魂も、神だもんね。
単行本の追加イラスト、デフテロスは仮面も聖衣も溶岩に沈めたのですよね。おそらくはアスプロスの遺体も…。
(…とか書いていたら、単行本外伝12巻のおまけ漫画で、デフテロスはアスプロスの遺体を聖域の墓地に埋葬していたことが判明。聖衣もごく普通に箱に入れて持ってたし…持って帰った後、溶岩に投げ込んだの? そもそも上の話はカノン島直行じゃなくて、まずは墓地に行ったと書きかえるべきなのか?―2015.1.9追記)
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
何かありましたら
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まで(★を@に)。
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