ついったの【#聖闘士書き手一週間一発勝負】での11月第5週のお題「山羊座のエルシド」「花の舞う丘で」両方で。
11/30(日)までだったものに遅刻しましたが、こっちにもアップ。
エルシド外伝より、エルシドさん修行時代。
エルシドと峰。
オリキャラは出ません。
---
フェルサーが修行地から出て行った。誰にも、何も言わずに。
「どうした? エルシド」
珍しく修行に身が入らない様子でぼんやりしているエルシドに、峰が声をかけた。
「俺は…フェルサーのようになれるだろうか」
「それは無理だ」
「…!」
峰の言葉にエルシドは振り返った。花影のかかった峰の顔は暗く、表情はよく見えなかった。
「フェルサーの手刀は確かに鋭かった。だがあの手刀には心が感じられなかった。お前や私の求める『聖剣』はそんなものではないはずだ」
峰は淡々と告げる。
「…」
エルシドは沈黙した。フェルサーは優しい男だった。認めたくはなかったが、その手刀を極めたいという強い思いを感じたことは、そう言われればなかったかもしれない。
「いずれにしてもフェルサーとお前は違う。フェルサーはフェルサー、お前はお前だろう」
黙り込んでしまったエルシドに、峰はふっと頬を緩めて言葉を継いだ。
「私には仁智勇を兼ね備えた真の聖闘士というのはよくわからないからな、私は間違っているかもしれない。だが私はお前なら十分立派な聖闘士になれると思うがな」
「そうかな」
「そうさ」
同じく『聖剣』を目指す者としての峰の言葉に、エルシドはようやく納得したように立ち上がって空を振り仰いだ。峰はその姿に微笑みかけた。エルシドは礼を言おうと峰の顔を見返して眉をひそめた。花影ではない。確かに顔色が悪い。
「峰、具合が悪いのか?」
「…なんでもない」
答えるまで一瞬の間があったが、その口調にそれ以上は聞けなかった。
丘の上を、峰の愛している東洋の花が舞っていた。
聖闘士になる決意を新たにした、その朝。
---
ワンドロに倣って1時間で書いてみようとしましたが、時間オーバーしてしまいました。
しかし最初の一言以降エルシドさんがろくにしゃべらねえ…。
「想い」と「散桜 ― noli me tangere ― 」の間くらいかな。
フェルサーのことを書こうかと思っていたら峰の話になった気が。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
何かありましたら
mcbt★br4.fiberbit.net
まで(★を@に)。
Powered by "Samurai Factory"