「聖闘士の恋人―女聖闘士の生活（２）」

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実は「女聖闘士の生活」は、はじめだけ。聖域における女性考。
うちのオリキャラヒロイン話。

 

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「はーっ」
　ティソナはため息をついた。女聖闘士の宿舎での朝の身支度。女聖闘士やその候補生には、なぜか、もし男どもが顔を見たら確実に見とれるようなきれいな顔の人が多い。そのうえかなりの者がスタイルも良くて、体に密着したアンダーや修練着がそれを際立たせている。それにひきかえ…。
「どうしたの？」
　同期の、まだ候補生の娘が聞いた。
「みんなきれいでいいなーと思って。顔も体もさ」
「何言ってんの。ティソナだってかわいいよ」
　そういう彼女は優しげな美人で、出るべきところが出ている抜群のプロポーションだ。まだ実戦経験がないので体に傷も目立たない。そんな彼女に慰められても…。
「こういう服って、もろに体の線が出るしー」
　修練着に手を伸ばした彼女が、ふと手を止めた。
「…私、聖闘士を目指すのはやめようかと思って」
「え？」
　ティソナが驚いて向き直ると、彼女は少し恥ずかしそうに微笑んでそっと下腹に手をあてた。
「あんた、もしかして…」
「そう。でもこれがなくても、そろそろ見きわめをつけるべきだと思っていたの。彼と同じ場所にいたかったけど、聖闘士でなくても、戦場でなくても、共に歩むことができないわけじゃないから。私にできることで聖域に尽くせばいいと思って」
「そうだね」
　そして翌日、彼女は仮面をつけずに女聖闘士の宿舎を出て、女官の生活する居住区に移っていった。時折、彼女と恋人の聖闘士の青年が幸せそうに一緒にいるのが見かけられた。

　聖闘士の一グループが聖域に帰ってきた。白銀が二人、青銅が三人。結構負傷しているし、皆表情が沈んでいる。あのグループは確か六人で出かけたのではなかったか？　ティソナははっとした。あと一人は確か…！
　だいぶ腹が目立つようになった彼女が小走りにやってきた。顔がこわばっている。誰かが伝えたらしい。
「申し訳ありません！」
　一番年若い青銅の聖闘士の少年が彼女の前に膝を折った。
「あの人は…俺が仕留め切れなかった冥闘士が襲ってきたとき…ご自分も負傷しておられたのに俺の前に飛び出して…敵を倒すのとともに…」
　泣き崩れる少年に手を伸べ、彼女は少年を立ち上がらせる。
「あなたのせいではありません。あの人は聖闘士としての務めを果たしたのですから…どうかご自分を責めないで」
　顔を上げた少年の目に彼女が穏やかに微笑む顔が映った。少年はうなずき、仲間とともに報告のため彼女の前を辞した。彼女はそのまま自分の小屋に向かっていく。
「――！」
　ティソナは小屋に入った彼女の名を呼んだ。彼女が振り向いた。はっと胸をつかれる、泣き笑いのような顔。
「…ティソナ？」
「ごめん…邪魔だった？」
「ううん。しばらくいてくれると嬉しい」
　彼女がティソナの胸にすがる。嗚咽が漏れる。聖闘士の少年には決して見せなかった涙が、いつまでも止め処ないかのように流れ落ちた。

　数週間後。
　ティソナは、出産のため里下がりする彼女を聖域のはずれまで送っていった。
「もう、落ち着いた？」
「ええ、もう大丈夫。…彼のためには丈夫な子を産んで、元気に育てなくっちゃね。そしていつか、あなたの父親はすばらしい聖闘士だったって話してあげるの」
「そうだね」
　すべてを受け入れた彼女は、きれいな笑みを浮かべて去っていった。強く、優しい笑顔で、前を向いて。

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多分「告白」の章よりは後。

そもそもこの話の元は、もし「痛恨」がなかったとして、ティソナがエルシドが死んだ後も生きていたら？というのから出ています。

ただ、オネイロスの攻撃のときあの場にいたら他の部下もろとも駆けつけてやられてしまうだろうし、もし何かで行っていなくて一人生き残ったらそれはそれで悲しいわけです。エルシドがオネイロス戦で死ぬのは動かせないので、残された方が辛いかな。でも生き残ったとしたら、あのあとテンマが訪ねて来たりしても、かえってテンマを慰めるんだよ。だけど、あとで一人になったら…。

エルシドはティソナが死んだ後も泣かないと思います。ティソナが自分を庇おうとしたこと、でも本当はそれは必要なかったことは重々わかってて、だけどそのことを悟らせることができなかった自分を未熟として、さらに精進することを心に刻み、泣くことを自分に許さないと思う…妄想だけど。

で、別人の話として作ってみました。主編パラレルとしてティソナで作ると、彼女はあのような状態でまだ聖闘士なのか？とか、一時「休職」しているとすると仮面はどうしてる？とか、いろいろ気になることが出てくるし。名もないカップルさん、ごめん。

…そして、これも言っても仕方のないことだとは思うのですが、女聖闘士の聖衣やアンダーはどうしてあんなビキニやレオタードみたいに「女」を強調するようなデザインなのだ！　女を捨てろとか言われてるのにさー。若い男の子たちを刺激するだろ！
それに女聖闘士は皆美人だし胸もでかいよねー。
ま、男の子の夢？なんだろうけど、さ。

ＴＶアニメの聖域には女聖闘士だけの修練場がありましたが、仮面をしてるんだからそれは不要では？　むしろそういう風に隔離されてるのなら鍛錬するとき顔を隠す必要はないんじゃ？
うちの聖域には女聖闘士の宿舎があって、そこでは女子同士なので仮面をはずしてる、という設定です。