忍者ブログ
―KEN NO CHIKAI― since 2010.10.23
[107] [106] [105] [104] [103] [102] [101] [100] [98] [97] [96
Posted by - 2024.05.11,Sat
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by MCBT - 2011.09.01,Thu
※当サイト初見の方はこちらをご覧ください※

初心に帰ってエルシドと部下の任務話など(オリキャラ含む)。
アニメ第2章で出た部下のあれこれを念頭に。


拍手[0回]


---


 少し人手の要りそうな任務だった。
 久しぶりにあいつらを連れて行くか。エルシドは教皇の間から下がりながら考えていた。
『お供させてください!』
『私たちも聖闘士として戦いたいのです!』
『危険だとわかるといつも私たちをおいて行かれる!』
 先日、ほとんど口論になったときのことを思い出して、エルシドは肩をすくめた。彼らが食い下がるのを、最後は有無を言わせず切り上げ、聖域の警備を任せると言い置いて出てきたのだった。
 実際問題として、部下を連れて行ける状況なのかを見きわめることは難しくなっていた。聖戦も佳境になりつつある今、強力な冥闘士が出てくることもある。聖闘士としての実戦経験がまだ乏しい彼らを、下手にそういうところに連れて行くのは危険だ。貴重な聖闘士の命を無駄にするわけにはいかない。とはいえ、大した力のない者ばかりなら、部下を連れて行くまでもなく自分一人で事足りてしまうのだが。
 磨羯宮に着くと、表の間に集まっていた部下たちが一斉に顔を上げた。何か言いたげにこちらを見上げる顔。その顔を見渡して言った。
「今回の任務の内容を説明する」

「うわ…」
 ラスクが思わず声を漏らした。その村に生きている人間の姿はなかった。そして、そこここに倒れている人の体からは、血を含めた体液がすっかり抜けたようになっていた。すでにその一帯のいくつかの村が同様な被害に遭っていた。それも比較的短い期間で。範囲が広いだけに、早急に原因を突き止め禍根を断たねばならない。
「一体、何が…」
 ラカーユはつぶやいて、辺りの気配を探った。
「いるぞ」
 エルシドが声を発したとき、物陰からぞわりと動くものがあった。
 現れたものは蝙蝠に見えた。ただし巨大な。それも大量に。口をあけて飛んでくる。
 ツバキが長槍のような技を放ち、何体もまとめて串刺しにする。ラカーユとティソナは手刀で斬り払う。ラスクも光の針を飛ばすような技で応戦した。蝙蝠はばたばたと落ちるが、あとからあとから湧いてくるように大量に来るので始末が悪い。
「くっ…きりがないぞ…」
 ツバキが唇をかみしめた。皆の技の余波を受けて岩の欠片が飛び散ったが、蝙蝠はそちらには見向きもせず、過たず人間のいる方に向かってくる。
(ということは…)
 エルシドはさっと右腕で自分の左腕を薙いだ。血が一筋迸る。そのあたりにいた蝙蝠がざーっと向きを変える。
(やはりな)
 この手の動物は人間の発する体温や体臭を頼りにやってくる。化け物なら微かな体臭より血臭の方に反応するのではと思ったがその通りのようだ。エルシドは向かってくる蝙蝠を斬り払いながら、群れの背後をうかがった。これを操っている者がいるはずだからだ。だが蝙蝠の数はなかなか減らない。地道に倒していくしかないか…?
 ティソナはとんと地面を蹴ると後ろに跳び下がった。そして指で素早く自分の腕を数箇所斬り裂いた。血が数条走り、蝙蝠どもの上にかかる。そのあたりにいた蝙蝠のほとんどが今度はティソナの方に向きを変え、殺到した。
「ティソナ!」
 ラスクは仰天して叫んだ。だがはっとしてティソナの足元を見た。足の周りを光の輪が囲んでいる。その中に蝙蝠は入れない。ティソナはさらに少し後ろに跳んだ。光の輪がともに移動する。
「グリタリングサークル!」
 光の輪が光の壁となって立ち上がり、その光の壁が、ティソナが降り立った地面からさーっと広がる。光に薙ぎ払われた蝙蝠は次々と地に落ち、動かなくなった。
「なにっ」
 蝙蝠を操っていた冥闘士が、群れが一掃されるのを見て思わず潜んでいた場所で動いた。
 そこを、黄金の光の一閃が襲った。

「お前の技の方が効率的だったな」
 エルシドはティソナの方を向いて言った。
「ちょっと応用してみました。エルシド様に倣っておびき寄せられればまとめてやれるかと」
 ティソナは言葉を切って首をすくめた。
「向かって来られるのはあまりぞっとしませんでしたけど。あとはエルシド様が何とかしてくださると思って」
「そうだな。だがちゃんと手当てしておけ」エルシドはティソナが自ら斬った傷を見て言った。
「…はい」ティソナは小宇宙で傷を抑えながら答えた。
「よし、帰るぞ」

「あ、ティソナも参加しない?」
 聖域に帰って間もなく。ティソナはツバキとラカーユとともになにやら話し込んでいたラスクに声をかけられた。
「何?」
「この前さ、結構てこずったじゃない? だから三人一緒の大技を考えようと思って。ああいう手合いなら『一対一』でなくていいよね」
「へえ。で、どんな技を?」
「まだ固まっていないんだけど…俺たちの守護星座は関連があるからさ」
「ああ、あんたたちは元は『アルゴ座』だしね。でもそれなら私は関係ないな」
「ティソナが竜骨座なら良かったのにね。あ、そうだ、船首の女神像がかぶっている冠ってことにすれば何とかなるかも。アルゴ号は船首もないから丁度いいよ」
「ちょっとこじつけくさくない? 私はやっぱりいいわよ」
「そう?」
 少し残念そうにラスクは言って、他の二人との話に戻っていった。
 あんまり使う機会はなさそうだよね…。ティソナはちょっと苦笑しながらその場を離れた。


---


アニメで出てた三人の合同技「ハウリングアルゴ」誕生のきっかけとか。
大技、というか範囲攻撃欲しいよねー。エルシドも範囲攻撃じゃないしな。
アルゴ号は化け物岩に挟まれて持っていかれたために船首がないのです。

エルシドは、なまじ自分の腕が立つだけに、部下を使うのって苦手そうだよね。たいていのことは自分でやれちゃうから。
中間管理職の部下の使い方(笑)。自分でやる方が速くても、部下にやらせて仕事を覚えさせなきゃいけないんだよ!
「血の陣」小規模バージョン(違)。
しかしアニメの血の出方は半端じゃなかったな。
チスイコウモリはもちろんこんなんじゃありませんよ。

参考にするためにアニメ第2章の第3巻第19話、第5巻第22話を観返してアニメオリジナルな台詞を書き写してみました。
しかし部下どものエルシドスキーがうざい…。
そしてなんか恥ずかしい。自分のことを見ているようだからか?
いずれにしても、誰か(上司の黄金聖闘士とはいえ)に守ってやらなきゃと思わせる聖闘士なんて駄目だろ!
(←アニメのエルシドの台詞「お前たちを守れなかった。すまない。俺の責任だ」)
それでもあんなのに突っ込んで行っちゃ駄目だろ! 自分たちの力量をわきまえろよ!

アニメでは青銅のラスクが白銀のツバキに敬語と「様」づけで話すシーンがありました(22話)。その前の19話では普通にタメ口だったのに。うちでは部下の中では同等に話させることにしました。
 

PR
Comments
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
プロフィール
HN:
MCBT
性別:
非公開
自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

何かありましたら
mcbt★br4.fiberbit.net
まで(★を@に)。
ブログ内検索
最新トラックバック
最新コメント
アクセス解析
フリーエリア
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]