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―KEN NO CHIKAI― since 2010.10.23
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Posted by MCBT - 2011.09.03,Sat
※当サイト初見の方はこちらをご覧ください※

アルバフィカとエルシド。
そう言えば、この二人がまともに出てくる話って書いてなかった。

オリキャラは出ません。
 


拍手[1回]


---


 最初に気づいたのは微かな香気。甘い、だがどこかしびれるようなその香り。
 次に届いたのは風が運んできた赤い花びら。
 そして。
「ロイヤルデモンローズ!」
 凛とした声と、続いて聞こえる野太い悲鳴。
 前方に馬車と、一団の人々が固まっているのが見えた。その周辺にいる黒い姿が倒れていく。その前に立つ金色の姿。
「くそ…!」
 馬車の陰で難を逃れた冥闘士が一人、立ち上って反撃しようとしていた。
「そうはいかん」
 エルシドは言うと、振り向いた冥闘士を斬り捨てた。
 アルバフィカがこちらを向いた。
「エルシドか…。すまない、面倒をかけた」
「いや。大丈夫か」
 行商人の一団のようだった。女性や子どもを含め、結構人数が多い。雑兵とはいえ倒れている冥闘士もかなりの数がいた。一人で守るのはやりにくかったろう。

「お怪我を…!」
 一団の中の若い女性が一人、アルバフィカの二の腕の傷に気づいて、近寄ろうとした。
「私に触るな!」
 アルバフィカは下がりながら鋭く言った。
「いいえ!」女性は決然と言った。「私たちのためにお怪我をなさったのですから! お手当差し上げるのは我々の義務です」
 アルバフィカはちょっと困ったような表情を浮かべた。エルシドは進み出て女性の肩に手をかけて制した。
「彼がああ言うのは故あってのことだ。決して遠慮しているわけではない」
 そしてふれないようにアルバフィカの方に手をのばし、癒しの小宇宙をあてた。
「ああ、ありがとう、エルシド」
 アルバフィカは少し微笑み、女性の方に向かって言った。
「気遣いはありがたいが私の血は他人には毒だ。それにこれで大丈夫だ。それよりも早くここを離れて人里へ出ることだ」
 町へ出る近道をしようとこんな寂れた間道を通っていたのだろう。いずれにしても冥闘士の骸が転がるこの場所からはさっさと移動した方がいい。こもごも礼の言葉を述べる人々と別れ、二人は聖域へ向かった。

 アルバフィカの顔色はあまり良くなかった。出血がかなりあったのだろう。
「任務の帰りか?」
「そうだ。丁度冥闘士に遭遇した一団を見つけてな。放っておくわけにもいくまい。いろいろと手を煩わせたな。貴方も戻るところだったのか?」
「ああ。ときに、少しでも手当をする様子を見せた方が納得するだろうと思ってやったが、俺はヒーリングはあまり得意ではない。あとできちんと手当をし直した方がいい」
「わかった。だがだいぶ楽になった」
 足取りはまだ重そうだったが、アルバフィカは気丈にその美しい顔で笑って見せた。

 聖域に着き、二人は双魚宮の前で別れた。
「先に行ってくれ。私もあとで報告に行くと伝えておいてくれ」
「ああ」
 アルバフィカはその体質ゆえに、負傷すれば手当もすべて自分で行わねばならない。だが他人にはなるべく接しないようにしているとはいえ、窮地に陥っている者を見過ごすことは決してしない。聖闘士として人々を守ること、それが彼の誇りだった。


---


並んで歩いていてもきっと少し離れているんだよね…とか、さりげなく傷のある側の反対側に人がいくような位置に移動するんだよね…とか思ってます。
LCの魚座は孤高の人なので年齢が近い同僚とも特別に親しくはない気がしますが、仲は悪くないといいな。シオン様や童虎さんにも親近感持たれてるし、この時代の黄金は同僚を信頼してるよね。

以前某サイトさんの感想を読んでいて知りましたが、シオン様はアルバフィカを聖域に連れ戻すとき、サイコキネシスで浮かせて運んでいるんですよね。単行本171ページとか見ると手の平が見えるのですよ。確かに随分血が出てるから。気づいた人すごい。それともアルバフィカ・ファンなら当然気づくもの?

原作外伝1巻アルバフィカ編、10/7発売!
 

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プロフィール
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MCBT
性別:
非公開
自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

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mcbt★br4.fiberbit.net
まで(★を@に)。
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