ミーノス→アルバフィカの「文化祭」続き。
ミーノス様は出ませんが、アルバフィカとマニゴルドが出ます。他にも名前だけならいろいろ。
「祝・公式接点!(何の関係もないけどさ)」とのことです(先週のちゃんぴおん参照)。
久しぶりにろん様からの学パラです。
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今日のアルバフィカはおかしかった。いや、考えてみればここのところはずっとおかしかったような気がする。元々白い顔はもっと白く、いっそ青白くなっていたし、ちょっとした物音にぎくりと振り向いたり、何も無い時ですらきょろきょろと落ち着きが無かったりと、まあ挙動不審だった。
それが、今日は特に酷い。表情は朝からずっと強張っていて、一時限目だけで鉛筆の芯を五回は折っていた。前の席にいたので見ることはできなかったが、一回木の軸から折れたような音もしたと思う。
マニゴルドもいい加減見ていられなくなって、授業と授業の合間に声をかけようと思った頃だった。アルバフィカがゆらりと立ち上がり、教室の外へ出ようというのか、こちらの席のすぐ脇まで歩いてきたではないか。マニゴルドは出来るだけ明るい風を装って、ひらりと手の平を投げた。
「よーアルバちゃん、なんかあっ──」
「──マニゴルド!!」
アルバフィカはマニゴルドの机を思い切り叩き、切羽詰った大音声で叫んだ。マニゴルドの口は「なんかあったかい」と言おうとした「た」の形のまま硬直し、眠ったように動かなかったアスミタは眉をぴくりと上げ、黒板を拭っていた週番のカルディアは黒板消しを取り落とし、その衝撃で床に落ちたチョークが乾いた音を立てて教室を転がった。
そんな周りの様子は気にも留めず──あるいはその余裕も無いのか──、アルバフィカは、キッとマニゴルドを射抜かんばかりに見据えた。
「お前は……冥界学園のオカルト研究会に出入りしていたな……?」
「ああ、まあ、そうだけど……」
いやいやこれには海より深い事情、もとい色んな意味でアブない部長に気に入られて出入りさせられているだけだとか、そんなんだから俺はさっぱりオカルトに興味は無いだとか、言葉を並べる暇は与えられなかった。
「ならば話は早い! 一刻も早くこいつを何とかしてくれ!」
悲痛に叫んだアルバフィカが取り出したのは、布をかぶせた関節人形のような奇妙な物だった。彼は一分一秒たりとも触っていたくないとでも言うように、それをマニゴルドの手の中に押し込んだ。
「……なんだ、これ」
「呪いの人形だ」
「は?」
そういう類の物に縁遠いはずのアルバフィカのきっぱりとした物言いに、流石のマニゴルドものけぞった。にっこり微笑むエルシドや、デジェルの居眠りの方がまだましだ。
「物凄く性質の悪い生霊が巣食っている。屑籠に捨てても川に捨てても庭に埋めても気がついたら戻ってくるんだ! こないだなど霊験あらたかな童虎の実家まで行って捨ててきたのに、帰りのバスでいつの間にか隣に座っていたのだぞ! 今日も今日とて胸の辺りに庭の薔薇を刺して磔にしておいたのに跡も残らん!!
……頼むマニゴルド、もはや頼れるのはお前だけだ。なんとしてでも除霊してくれ!」
マニゴルドは鬼気迫る口調に気圧されてしばらく黙っていたが、もう一度念を押すように「頼む」と言われて、こくこくと首と目だけで頷いた。アルバフィカはほうっと大袈裟に胸を下ろし、しかし憑き物が取れたような足取りで席に戻っていった。
後に残されたマニゴルドは、へにゃりと倒れた人形をつまみ上げ、裏返し、色々といじくり回した。
(そりゃ確かに顔無いし、真っ白だし、ちょっと不気味かもしれねェが……そんなに怖いモンかね)
しかし、頷いてしまった手間だ。気は全くもって進まないが、あの胡散臭い部長に見せてみようか。そんなことを考えながら、人形をお手玉のように軽く宙に放った。
「……あ」
目測誤って、人形はマニゴルドの手に収まらず教室の床に落ちた。拾おうと席を下りて探すが、どこにも無い。まさか転がる物でもないしと机の上も見てみたが、やはり無い。
はてとマニゴルドが首を傾げるのと、次の授業に備えて鞄を開いたアルバフィカが悲鳴を上げるのが、ほとんど同時だった。
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「多分続かない」らしいです。こ、このままスか?
あのう…こわいんですけど(笑)
マニゴルドさーん、燃やしてやってー
でなかったらアスミタさん、御祓いしてやってー
ところで「にっこり微笑むエルシド」とか「デジェルの居眠り」とかは同じくらいレアなものなんですね。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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