「ボペトール…やられたのか」
夢神オネイロスは顔を上げた。自分たちにかけられた封印の一つを不十分ながら解いた男がいた。叶わなかったとある夢を叶えたいと願って。だがそれはすでに死した者の夢。真っ当な形で蘇るはずのないもの。『悪夢』としてしか実現しないことを知ってなお、その夢の続きを望んだ者。
その不十分に解けた封印の隙間から、幻夢イケロスはその力の一部、『悪夢』を具現化して顕現させていた。だが封印が完全に解けたと思った途端、ボペトールは砕かれてしまった。忌々しい黄金の輝きに。
「これは…聖闘士の小宇宙か」
「あら、綺麗な小宇宙じゃない。あたし、もらっちゃいたいくらい」
「戯れはよせ、パンタソス」
「少し楽しんだっていいじゃない。この人はどんな夢があるのかしら」
苦々しげに吐き捨てるイケロスに、仮象者パンタソスが楽しそうに応じる。
「『エルシド』か。英雄の名を名乗っているのだな。王者や英雄の夢を統括する私のモルフィアにふさわしいかもしれんな」
「あらやだ、あんたも興味あるわけ?」
造形者モルペウスのつぶやきを聞きつけたパンタソスが、すかさず突っ込みを入れる。
「お前たち、大概にしろ。人間ごとき、こいつが目の前に出てくるようなら私がたやすく仕留めてやる」
「ちょっと、オネイロスまで、割り込まないでよ」
「ボペトールを生み出したのは俺だ。この借りは俺が返す」
「私が永遠に覚めぬ夢の中で預かってやると言っている」
「あたしがもらうって」
「俺が始末する」
「私が」
…夢界でそんな遣り取りが交わされていたことを、山羊座の黄金聖闘士は知らない。
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短いですが、なんとか夢神の話を書こうとひねり出しました。
某wikiの記述にお世話になりました。ボペトールとポベトールの違いは気にしない!
真面目に始まってギャグに終わる。やっぱ夢神はギャグですよね!
皆様の楽しいセクハラ話には全然及びませんが。
夢の四神に大人気なエルシドさん。
モルペウスとは接点なかったけど(漫画だと顔も見ていないけど)、何かあったら彼も興味を示すのではと。
「我ら夢の神相手に戦うか? 聖闘士よ」は漫画ではイケロスの台詞だったんだけど、アニメではオネイロスなんだよね。あのへん微妙に状況も台詞も違うところがおもしろいです。
エルシドと、エルシドに縁があった人たちとのことを書こう!という一人エルシド祭り。
(すみません、この話にはエルシドさんいないですが)
シジフォス→テンマ(×2)→峰→フェルサー→夢の四神
次こそあの人だから!(何度目?)
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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