「聖剣への夢」への拍手とコメント、トップページへの拍手、ありがとうございました!
ちょっと間が空いちゃいましたが、一人エルシド祭り、後半戦の第2戦。
この前の「聖剣への夢」のあとがきから続く感じで、フェルサー。
ここから「黒き戦慄」や外伝へとつながっていくかな?なので暗いです。
なんだか『嫌な話』になった気もするので、何でもOK!な方のみどうぞ。
オリキャラは出ません。
新TVアニメ「Ω」は新章に入りました。
まさかのあの人が復活するようです…属性?的には近いよなあと思ってはいましたが…。
新しい聖闘士候補生がやってきた。無口な黒髪の少年で、年の割に体つきは細かった。その少年の名はエルシドといった。伝説となっている戦士の名前だった。
エルシドはすでに多少の小宇宙の心得があり、自分の拳を極めようとすぐ熱心に修行に取り組むようになった。やがて組み手をするようになったが、直接的な体術は体の大きい俺にまだまだ及ばないが、その内に秘めた闘志が並々ならぬものであることは感じられた。そう、それは腕っ節が強いだけで聖闘士にでもなってやろうかという程度の思いしかない、この俺にはないものだった。俺はいつか、こいつに敵わなくなる日が来るだろう。俺はそう確信するようになった。こいつの体が十分大きくなったら。今は体力が勝っているだけだ。だがほどなく俺は気づいた。エルシドが、自分を負かすことのできる俺を尊敬していることに。
「俺はそんな大した者じゃない」
そう言っても、
「貴方は謙虚だな」
そんな風にとるのだった。その信頼のようなものが俺にはなんとも居心地の悪い思いをさせた。じわじわ高まるエルシドの小宇宙を感じるにつけ、自分は聖闘士にはなれないだろうという思いが強まっていた俺は、確かにすでに欲はなくなりかかっていたかもしれない。それは謙虚というより諦めだったのだが。次第に修行に不熱心になり動物と戯れたりすることが多くなっていたが、エルシドにはそれすら俺が無駄な戦いを好まぬ、心優しい男というように見えたようだった。
修行地にはもう一人、峰という東洋の血を引く少女がいた。長い黒髪の似合う、成長したらさぞや美しくなるだろうと思わせる、凛とした気品を持つ少女だった。少女は聖闘士の候補生ではなかったが、父親の跡を受けて、刀剣の研ぎ師をめざしていた。やっていることは全く違うはずだったが、気づくとエルシドと峰はお互いのめざすものをそれぞれ『聖剣』と称して、よく話し込むようになっていた。ふだんは愛想のないエルシドが、峰とは『聖剣』のこととなるとよくしゃべっていた。峰も、共通の話題がない俺よりも、年も近いエルシドと話すことの方を好んでいるようで、俺に『兄』以上の意識を持っていないのは明らかだった。二人とも俺を兄のように慕っていたからだ。自らの技を極めようと張りつめていることが多い二人とも、俺の傍にいると気楽に過ごせるらしかった。二人のように打ち込むものがない俺が、二人の息抜きの場になっていたとは皮肉なものだ。まだ成長途上にある二人が目標について熱心に語り合うさまは微笑ましいものだった。そこに入れない自分に、一抹の寂しさも感じた。
*
月日は着実に流れていた。
峰は研ぎ師の技を磨き、エルシドも腕を上げていった。エルシドには、このところは何本かに一本は取られるようになってきていた。離れての小宇宙の応酬ではもはやあいつの方が勝っているかもしれない。だが今もまだ、腕力では俺の方が上だ。つかまえられれば俺の勝ちだ。組み敷いてしまえばあいつを俺の意のままできる。そうしたら、その体をめちゃめちゃに壊すこともできる。それとも…。
…何を考えているんだ。俺は最近しばしば心の中に湧く黒い想いを振り払った。俺はエルシドに『嫉妬』しているのだろうか。聖闘士をめざし、自らの剣技を極めようとするその純粋な情熱に。峰と互いの夢を語れるその仲に。
俺はここを出るべきだ。取り返しのつかないことをしてしまう前に。自分が駄目になってしまう前に。己れの真の道を見つけるために。そうして遠くから二人を見守ろう。遠からずエルシドは聖闘士になってここを離れるだろう。そのころにはきっと俺の心も鎮まっているだろう。別々の場所でそれぞれの道を追い求める、二人の夢が叶うことを祈れるくらいに。
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そして火事が起きて拳が使い物にならなくなったのを口実に、フェルサーは修行地から姿を消したのでした。とか。
フェルサー×エルシドというわけではないけれど、人様のフェルエル話とか見ているうちに、自分なりに二人の関係を書いてみようかと。
むむ、でもなんだかすごくどろどろしたものになったような。私はフェルサーが嫌いなのか?(笑) だってフェルサーってば、カタラニアでエルシドに冷たいんだもん。
口直しには「二振りの刀剣」をどうぞ。
峰さんは「父の国」という言い方をするのできっとヨーロッパの生まれでお母さんは日本人じゃないんだよね?と思っています。日本生まれだとしても、多分覚えてはいないんだろうな。
峰→エルシド→フェルサー→峰、という一方通行で報われない想いの形というのも入れようかと思いましたが、うまく入れられなかったので、そのへんの感情のもつれは匂わす程度になりました。
エルシドと、エルシドに縁があった人たちとのことを書こう!という一人エルシド祭り、後半戦、外伝関係者編。
シジフォス→テンマ(×2)→峰→フェルサー→次は今度こそあの人を!
なんか暗い上に出来ばえがイマイチな気がするので、ラストは明るく締めたいです!
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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