忍者ブログ
―KEN NO CHIKAI― since 2010.10.23
[138] [137] [136] [135] [134] [133] [131] [130] [129] [128] [127
Posted by - 2024.05.12,Sun
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by MCBT - 2012.05.05,Sat
※当サイト初見の方はこちらをご覧ください※

外伝その後シリーズ第2弾。聖戦終結の数年後。
カルベラさんとテネオくん。カルディア関連。
オリキャラは出ません。

外伝その後シリーズ第1弾は「人の道」。全員分やれるだろうか?


ラカーユ関係を修正せねばならんのですが、先に書いていたこれをとりあえずアップ。


拍手[0回]


---


「今日もいい天気になりそうだねェ」
 カルベラは窓を開けて部屋の中に風を入れながら、新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだ。
「昨日の夜は何だか荒れてたみたいだったけど」
 ひとりごちながら、カルベラはふと夕べのことを思い出した。何だか妙な胸騒ぎを感じてなかなか眠れなかった昨夜。なにやら大きな物音がしたので窓から外を見ると、向かいの家の屋根の上に誰かが立っているのが見えたのだ。顔は見えなかった。だがその人物が身を翻して姿を消すとき、肩に金色の棘が光るのがチラリと見えた気がした。
 あれはあいつだったのか? そういえば、あれから随分と経ったもんだ。あの子はどうしているのだろうか。背負った重荷を引き受ける覚悟をしたあの子は。

「また来ちゃったよ!」
「のみすぎんじゃねェぞー」
 なじみの客とのいつもの遣り取りが交わされるにぎやかな夜の店。そのとき、ふらりと一人の男が店に入ってきた。見慣れない顔。まだ若い男だ。だが男の持っていた荷物にカルベラの目が止まる。
「いらっしゃい」
 飲み物を持ってカルベラが近づく。
「ああ、すみません、ええと…」
 青年は慣れない様子で注文をする。カルベラは青年が脇に置いた四角い大きな包みの大きさを目で確認した。一旦調理場に引っ込み、料理を持って再度青年の傍に立つ。
「…あんたは聖闘士さんかい?」
「えっ」
 青年は驚いて顔を上げた。
「なぜそれを…?」
「やっぱりそうか。余計なことだったらごめんよ。前にそんな箱を持ってやってきた奴にちょっと会ったことがあるもんだからさ。あたしの家のことで迷惑かけちまったし。蠍座のカルディアって奴は元気かい?」
「カルディア殿は…」
 そのとき別のテーブルからカルベラに声がかかった。
「はーい! …あとでまた来るね。帰っちまわないでおくれよ」

 結局、深夜の閉店の時間まで、ゆっくり話すことはできなかった。
「やれやれ。お待たせ」
 他の客を送り出すと、カルベラはジョッキを持って青年のところへやってきた。
「引き止めちまって悪かったねェ。これはあたしのおごりだよ。急ぎの用じゃなかったかい?」
「いえ、任務はもう終わりましたから」
「あんたは何て言うんだい?」
「申し遅れました。俺は牡牛座の黄金聖闘士、アルデバランです。聖闘士になって日が浅く、まだまだですけど」
 青年が一口飲んだところでカルベラは口を開いた。
「夕べ、カルディアの奴がうちの前の屋根の上に立っていたのを見た気がしてさ」
「それは多分、俺です」青年が申し訳なさそうに言った。「この家のあたりに何やら不穏な小宇宙を感じたので…。集まっていた小魔どもは祓いましたのでもう大丈夫です」
「ああ、やっぱり何かいたのかい。前にごたごたしてから、ときどき変な気配がしていたんだよね」カルベラはため息をついた。「気にしないようにはしてるけど」
「気がお強くていらっしゃるんですね」
「まあ、ね」
 カルベラは笑った。あのときに比べりゃ大したことないさ。
「で、カルディアはどうしてる? あと、サーシャ、いやあんたたちの女神のアテナ様は元気かい?」
「…カルディア殿は先の聖戦の折、必要なものを手に入れるために赴いた先で…」
「その任務とやらはうまくいったのかい?」
「はい。別の者の手で無事に聖域へと運ばれました。カルディア殿が敵の大物を足止めしたおかげで」
「そうか」
「アテナ様は、聖戦の最終局面で復活しかかったハーデスを再び封印されました。その後お姿を拝見した者はおりません」
「…二人とも、疲れちまうひまはなかったみたいだね」
 カルベラはふうっと息をついた。青年は硬い表情で黙った。その肩をカルベラはぽんと叩いた。
「あいつのことだから思いっきり楽しんで戦ったんだろうよ。サーシャちゃんもみんなを守ったんだね」
 青年は顔を上げた。
「生かされたあたしたちが陰気な顔をしていたら、あいつやあの子は喜ばないよ。この店は楽しむところだ。あんたや聖闘士さんものんびりしたくなったらいつでもおいで。歓迎するよ」
「はい…!」
 青年は生真面目な顔でうなずいた。
 去ってゆく青年を、カルベラは微笑んで見送った。


---


カルベラさんは、訃報を聞いても、きっと前向きに捉えて生きていこうとするんじゃないかな。
テネオくんは同格の黄金になったんだけど、ハスガードさんがイリアスさんに語るときのように敬称をつけて話すんだよ、とか。

外伝2巻巻末にあったイラストのような、ウェスダのおっさんとナワルピリさんが生きていたら…という「if」話も楽しそうですが、まずは「現実」の方で。
しかしこのやり方だと関係者が聖戦後に生き残っていない場合に苦労しそうですが…まあそのときに考えよう。

外伝第2話は場所が場所だけに、カルベラさんが聖域近辺に来るということは考えられません。なので聖闘士に出張してもらうことにしました。オリキャラ聖闘士の出演も考えましたが、牡牛座の聖衣って肩に棘があるところが蠍座に似てるよね、ということで(それを言ったら山羊座も棘ありなんだけど)。
テネオくんもハスガードさんの出身地の近くだから行ってみたかったので積極的に任務を引き受けたとか?(20世紀のアルデバランがブラジル出身だから、ポルトガル語の本名「ハスガード」を持つロスキャン時代のアルデバランさんも…)
外伝第2話は本編の始まる5年ぐらい前で、テネオくんが牡牛座になるのに聖戦後数年はかかるとして、あれから10年後くらいのつもりです。

 

PR
Comments
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
プロフィール
HN:
MCBT
性別:
非公開
自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

何かありましたら
mcbt★br4.fiberbit.net
まで(★を@に)。
ブログ内検索
最新トラックバック
最新コメント
アクセス解析
フリーエリア
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]