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Posted by MCBT - 2010.11.29,Mon
※当サイト初見の方はこちらをご覧ください※

黄金交流話、アルデバラン編。
テネオ、セリンサ、サロも出演。
ほとんど関係ないといってもいいですが、一応オリキャラヒロインあり前提です。



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---


 任務の予定が急に変更になり、ぽっかり時間があいた。部下たちも今日はそれぞれの用で出払っている。エルシドは鍛錬でもしようと修練場に下りた。
 豪快な大声と子どもの泣きそうな声が聞こえた。牡牛座の黄金聖闘士、アルデバランが来ていた。弟子の修行につきあっているらしい。男の子が二人と仮面の女の子が一人。男の子の一人はまだかなり幼い。先程の泣き声はその子のようだ。黒髪のその子は今はむっつりと押し黙っている。年上の方の男の子が懸命に宥めている。頑固な顔をした、黒髪の子ども。
「おお、久しぶりだな」
 こちらに気づいたアルデバランが声をかけてきた。
「ああ。…貴方の弟子か?」
「うむ。まだまだだがな」
 アルデバランは答えながら、弟子たちの方を見ているエルシドを見やった。
「そういえばお前もあんな頑固な顔をした黒髪の子どもだったな。まあ今のサロよりはテネオの年に近かったか。懐かしいか?」
「そうだな」
「ほう。こんなことを言ったら昔なら睨まれたものだがな」アルデバランは以前やったように頭に手を置こうとし、「おっと。お前も大きくなったものだ」
 笑いながらエルシドの肩をたたいた。エルシドは長身の方だったが、アルデバランに並ぶと、なんだか子どもに戻ったような感じがした。
「そうだ。丁度いい。少し手合わせをせんか」
「いいのか?」
 エルシドは弟子たちの方を見て言った。
「ああ。そろそろ一息を入れる頃合だったしな」
「ええー? アルデバラン様とやるの?」
 すねていたことも忘れて、サロと呼ばれていた黒髪の子が驚いたようにこちらを見て叫んだ。
「馬鹿! この方は山羊座の黄金聖闘士のエルシド様だぞ!」テネオという年上の少年がたしなめる。「黄金聖闘士同士の手合わせなんてめったに見られないんだぞ! よく見てなくちゃ」

 アルデバランとエルシドが組み手を始めると、辺りから人が集まって来た。テネオもサロも、もう一人の聖闘士候補生の少女も、固唾を呑んで見つめている。
 聖衣を纏っていないとはいえ、黄金聖闘士同士の打ち合いは激しい。どっしりと構えるアルデバランに、エルシドが斬りかかる。激しく、素早い、舞のようなエルシドの動き。対するアルデバランはわずかな動きでその手刀をかわす。時折アルデバランも拳をくりだす。その拳をかわしてエルシドが飛びすさる。二人の拳がふれあうと激しい衝撃が周囲に伝わる。アルデバランの拳圧はすさまじい。エルシドも決してやせているわけではないが、アルデバランに比べるとはるかに細身に見える。その拳をまともに浴びないように、受け流しつつ隙を狙った。
「なかなかやるな!!」
 アルデバランが吠えるように言って拳をふるったとき。一番近くに座っていたアルデバランの弟子たちの後ろ側の柱が衝撃で揺れ、三人の上に倒れかかってきた。
(間に合うか!?)
 エルシドはざっと前に飛び出し、小宇宙を全開にしてその柱を真ん中からたたき斬った。
「すまんすまん!」
 真っ二つになった柱の片方を受け止めながらアルデバランは弟子たちに謝った。
「つい力が入ってしまってな」
「俺たちは大丈夫です!」
 エルシドが反対側を見ると、テネオが柱のもう片方を支えていた。エルシドは感心した。まだ11~12歳だが、さすがアルデバランの弟子なだけはある。
「今の…何?」
 真ん中でサロがぽかんとしたようにエルシドの方を見ていた。
「ああ、この男の手刀の斬れ味は聖域一だろうからな」
 アルデバランはサロの頭をぽんぽんとたたきながら言った。サロはなおも柱のすっぱりとした斬り口を呆然と見つめていた。
「エルシド様、アルデバラン様、どうぞ」
「おお、すまんな、セリンサ」
 聖闘士候補生の少女が二人にタオルと水を持ってきた。エルシドも礼を言うと、少女はぴょこんとお辞儀をした。まだ小さいが、女の子は皆そうなのか、この子もよく気が利くようだ。
 手合わせは何となくそこで水入りになった。

 数日後。エルシドが部下を連れて修練場を通りかかると、アルデバランとその弟子たちが目に入った。今日はあちらも聖衣姿だ。アルデバランも任務に出かけるところなのだろう。
「あ、エルシド様! この間はありがとうございました!」
 テネオがこちらを見とめて礼を言ってくる。
「何かあったんですか?」部下の一人が尋ねてくる。
「アルデバラン様との手合わせ、すごかったです!」
 テネオが目を輝かせて答える。
「ええ~俺たちも見たかったのに~」部下たちが一斉に文句を言った。
「そう言うな」
 エルシドがふと見ると、サロがこちらをまた目を丸くして見ていた。それからアルデバランの方を見、またこちらに視線を戻す。ああ、黄金聖衣、か。見慣れていない目には黄金聖衣は大変まばゆく見えるものだ。聖域に来たばかりの頃は、俺もあんな目で黄金聖衣を見ていたかもしれない。ずいぶん昔のような気がする。
「行くぞ」
 部下たちに声をかけながら、そんなことを思った。


---


主編「聖闘士」の章の前後あたり?
珍しくエルシド視点。
サロをだしにしてみました。サロは3年くらい前で6~7歳くらい? 修練着だった「この前のお兄さん」がきらきらの黄金聖衣を着ていたら見違えてしげしげ見ちゃうよねー。アルデバランはサロにとって別格だろうけど、「あれ…アルデバラン様と同じ…?」みたいな感じ。
テネオくん、力持ちですよねーあれなら牡牛座が継げるかな?
セリンサちゃんを見て自分の部下を思い出す、うちのエルシドさん。まだ「告白」の前です。

(1)となっていますが、(2)(3)は別の「少年」になる予定。書ければ、ですが。
エルシドの過去、相変わらず気になりますよね(笑)。
でもあんまり暗いことを考えたら駄目な気もする。

アルデバランとは同じ体術系と思ったけど、結構タイプが違うかな。
ロスキャンの牛さんは年長組なので、他の黄金さんのお兄さんがやれるよねー。アルデバランはエルシドが子どもの頃を知ってるかな? 黄金聖闘士になったのがいつかにもよるけど。どんな子どもだったのか激しく知りたい。(…と思っていたらなんと2歳しか年の差がなかった。子どもの頃の2歳差は案外大きいし、アルデバランは昔から体はでかかっただろうから頭をぽんぽんたたくのはやれそうだけど。エルシドが聖域に来たのはいつなのかなあ。―2011.1.7追記)
ロスキャンの黄金聖闘士は無印より聖闘士になるのが遅そうだしなー。我が家設定ではエルシドは11歳くらいで黄金聖闘士になってるんですけど(原作で年齢設定が出たので黄金聖闘士になったのは17歳くらいに主編修正しました―2010.12.23)。
 

そういえば黄金聖衣って聖域にあるんだろうか? それとも黄金聖闘士の出身地とか修行地のそばにあるのだろうか? 聖域にあるとすると、黄金聖闘士候補生は修行を大体終えた後、聖域に来て聖衣をもらうのかな?
 

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MCBT
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非公開
自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

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