黄金手合わせ話が続きますがたまたまです。
しかし実はエルシド様一番のあまりシジフォスが気に入らない(笑)ツバキの話。
ろん様からの提供です。
オリキャラはその場にいるそうですが空気なので、いないということに。
(部下名前変更―2011.4.24)
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聖闘士が修練場で手合わせするのは、そうそう珍しいことでもない。しかし、それが黄金聖闘士同士となれば話は別だ。
射手座のシジフォスと、山羊座のエルシド。聖域が誇る最強の戦士のぶつかり合いに修練場はまるで御前試合を見守る闘技場のように静まり返り、誰もがその打ち合いを注視した。
朝から連れ立って鍛錬に来ていたエルシドの四人の部下も、そこに居合わせたたくさんの候補生や聖闘士同様、息を呑んで戦いを見守っていた。
黄金聖闘士の拳は、小宇宙を最大に燃やせば光速にすら届く。そうなればもはや下級の聖闘士である彼らの目に届くことも無かっただろうが、修練場のほとんど真中で拳を打ち合わせる二人はそこまで真剣勝負をしているという訳ではないようで、目にも留まらぬ速さながら、しかしどうにか動きを追える。それだけに、その舞闘は壮絶に見えた。
シジフォスの拳を、エルシドが身を沈めてかわした。間髪入れずに蹴りを仕掛けんとしたところに手刀を落とされかけ、後ろへ飛びすさって体勢を戻す。そうした、恐ろしく俊敏なことを除けば一般的とさえ言えそうな一連の動きさえ、彼らが交わすと抜群に美しく、洗練されて見えた。彼らがしているのが戦闘訓練であるという、その事実を忘れさせるほどに。
このままいつまでも続くのではないかと思われるほどに長く、疲れの片鱗も見せずに打ち合いを続けていた二人の黄金聖闘士は、瞬間ぴたりと動きを止めた。時と共に白熱していった試合は次第に速度も増していて、どのように決着が付いたのか、傍目からはよくわからなかった。けれども相好を崩してエルシドに何事か語りかけるシジフォスと、それに頷いたり時折言葉を返したりするエルシドの様子を見ていると、どちらが勝者となったのかは、やはり誰の目にも明らかだった。
「エルシド様、エルシド様! 凄かったですよ、今の!」
シジフォスが修練場を去り、普段の空気が戻りかけたとき。興奮冷めやらぬままにラスクが駆け出し、拙い言葉で感動を語った。続けて他の部下たちも主の周りに集まってくる。
「その、な、何だか新鮮でした……エルシド様があんな風に戦うの、見たこと無くて。凄く綺麗、っていうと変ですかね」
ラカーユも上気した顔で、しかしエルシドの気分を害さないようにか、懸命に言葉を選んでいるように見えた。
エルシドは珍しく微笑んで、口々に自分を称える部下たちを見渡した。
「そう騒ぐな……しかし、流石最強の聖闘士と言われるだけはある」
「──何を仰いますか。貴方も射手座様も、最強の黄金聖闘士の一角である筈です」
まるで羨望のような色を持った眼差しでシジフォスの消えた十二宮を見やって呟いたエルシドに、それまで沈黙を守っていたツバキが言った。不機嫌ささえ感じる、場に不釣合いな声音に部下たちが揃って彼を見つめる。エルシドだけが、誰にも感付かれないほどの小さな溜息を吐いていた。
「……すみません、少し頭を冷やしてきます」
すぐ戻れ、とエルシドが言い置くと、ツバキは短く是の意を表して、修練場から姿を消した。
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エルシド様一番のあまり、シジフォスが書けない管理人に代わり、ろん様が書いてくれた話。
部下が揃ってちょっとぐらいの頃だとか。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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