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「テンマ、時間があったらシオンを少し手伝ってやってくれんか」
童虎に頼まれたテンマは、慰霊の地の丘にシオンが聖衣を運ぶのを手伝っていた。また、ふえた…。破損し、持ち主のいない聖衣。修復され、新しい持ち主を待つ聖衣たち。
ふと顔を上げると、慰霊の地の丘に接している墓地に人影が見えた。誰かがとある墓の前にひざまずいている。その人物が立ち上がった。その高い背に黄金聖闘士の白いマントが翻る。墓の前ではずしていたらしいヘッドパーツをぱしりと頭につけるのが見えた。二本の金色の角がきらりと夕陽にきらめく。
「あれ? エルシド?」
真っ直ぐに伸びた背が歩み去っていく。エルシドのひざまずいていた墓の前に白い薔薇が供えてあるのが見えた。
「誰の墓だ? あの花、エルシドが持ってきたのかなあ?」
「花はアルバフィカからの心遣いであろう。あの墓は彼の部下のものだ。…恋人でもあった女聖闘士の」
「え!?」
「そういえばちょうど一年前であったな。彼女の纏っていた聖衣はまだここにある」
「そうなんだ…」
テンマは去っていく後ろ姿を見つめた。ふだん行き違っても、恋人がいたことなど、ましてやその喪失などということを微塵も感じさせない男。その背に静かな決意が見えた。
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今のところ時系列的に一番最後のエピソード。
このタイミングだとテンマくんはまだ聖闘士じゃなかったかな?
慰霊の地の丘と墓地は近くなんじゃないかと思うのですが、どこかに位置関係があったでしょうか?
アルバフィカはエルシドが任務から帰ってきたときとか見計らって、花を供えてくれてるという設定。エルシドは自分で花を持って来たりしないだろうから。花を持って歩くエルシドって…ありえない。アルバフィカが相変わらずいい奴。そんなに仲いいのか?(>我が家設定)
シオン様は解説役にも聞き役にも向いている気がする。解説はのちの教皇として重要か?
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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