ティソナ独白…じゃなくて聞き手がいるけど。うちのオリキャラヒロイン話。
たまにちょっと鬱な、というかメロウな気分になったとき。聖闘士の憂鬱。
ラカーユ話その1。
(部下名前変更―2011.4.24)
---
ふとなじみのある小宇宙を感じた。ふだんあまり通らない道だったが、そこをさらにはずれていく、あるかなきかのけもの道をラカーユがたどっていくと、ぽっかりと視界が開けた。小高い丘になったそこからは、思いがけず聖域とその先の村までが視界に入る。そして、そこの岩の上に誰かがすわっていた。
「ティソナ?」
「ああ…ラカーユ」
いつも元気なティソナなのに、心なしか、声に力がない。
「どうしたんだ? こんなところで」
思いがけず会えたのは嬉しかったが、何だか沈んでいるようなのが気になった。
ティソナは眼下の風景を見やった。
「ここから見ると…平和に見えるよね。聖戦はそろそろ始まっているっていうのに」
ティソナはつぶやく。
「ここももうすぐ戦場になるかもしれない。そうしたらたくさんの人が死ぬんだね。村の人も、聖域の人も。聖闘士も」
ラカーユは黙ってティソナの顔を見つめた。
「黄金聖闘士がついに十二人揃ったって聞いた。黄金聖闘士が揃うっていうのは聖戦が本格化する証拠だから、戦闘はますます激しくなる。黄金聖闘士が戦う相手は私たちがふだん戦っているのとは比べものにならないくらい強いはず。エルシド様だって…」
ティソナは言葉を切った。
「エルシド様が…何?」
ラカーユの問いに、ティソナははっと我に返ったように頭を振った。
「何でもない。…むかしさ、父さんに聞いたんだ。悪いことは口に出しちまうと悪い運命を呼び寄せるって。だから言わない。ごめん、もう行かなくちゃ。変な愚痴に付き合ってくれてありがとう」
ティソナはいつもの声になって、さっと立ち上がると丘を下って行ってしまった。取り残されたラカーユはしばらくそこに立ち尽くしていた。
絶好の機会だった、と気づいたのは、少し経ってからのことだった。
---
ラカーユ、告白の好機を逃すの回。
主編「慟哭」の章の少し前。というよりむしろ「聖闘士」の章の前後か。
ラカーユはきっといい聞き手で、ティソナにとっては気安いのでついいろいろしゃべってしまうのかも。「いい友だち」として!
ラカーユ、それじゃ駄目だろ…。顔、見えなくても、声や態度でいろいろわかるようになったみたいなのに!
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
何かありましたら
mcbt★br4.fiberbit.net
まで(★を@に)。
Powered by "Samurai Factory"