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任務の報告に来たマニゴルドを見送りながら、教皇セージは教皇の間の外に出てきた。
「おや」
一つ下の双魚宮の入り口に小柄な人影が見えた。中に声をかけているようだったが宮の中には入らず、横から庭園の方に回り、少しすると花を持ってまた双魚宮の中に向かって声をかけて一礼し、石段を下っていく。
「アルバフィカが花を分けてやっているのか。珍しいこともあるものだな。女聖闘士のようだったが…?」
マニゴルドは目を細めてその姿を確認し、にやりと笑って言った。
「…磨羯宮っすよ」
「なに?」
教皇はちょっと驚いたように問い返した。なるほど、人影は宝瓶宮を抜けて磨羯宮に入り…出てこなかった。
「ほう。あの男もあんな仏頂面をしてなかなかやるではないか」
教皇は楽しそうに笑いながら言った。
「ああいう真面目な奴がいいっていう女の子もいるってことっすよ」
「そういうお前はどうなのだ。誰かいないのか?」
マニゴルドが女官にしょっちゅう声をかけたりしているのは有名だった。
「俺にゃそんな甲斐性はありませんよ」
マニゴルドは首をすくめてみせた。冗談めかしていたが、彼も蟹座の黄金聖闘士、聖戦を控えてあえて特定の相手を作らないようにしているのだろう。セージはそんな愛弟子を見てちょっと眉を曇らせた。
「俺は適当に楽しんでますよ。後腐れなく、ね」
教皇の方をチラリと見て、マニゴルドは気楽そうに笑って言った。
「しかしあいつはからかい甲斐がないんだよなー」
マニゴルドの言葉にセージもまた少し笑った。
「そうであろうな」
きっと取り付く島もなく「それが何だ」とか「お前には関係なかろう」とか言うのだろう。どうであれ、決してその任をおろそかにしたりはしないだろうが。今度二人が報告に来たとき何と言ってやろうか。セージはちょっと楽しみになった。
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マニゴルドさん、師匠にも気配りないい奴…。
セージ様が弟子馬鹿兼変な奴かも。むしろハクレイさんぽいか。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。
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