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Posted by MCBT - 2011.05.17,Tue
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磨羯宮での、とある一コマ(×オリキャラヒロイン)。
「隠し事」というほどのことはないけれど。
「100の質問」からのスピンオフ的なもの。


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 食器を片付けていたティソナの手が止まった。
 棚の中にしまってある繊細な模様の刻まれた玻璃細工のグラス。
「まさか…」
 偶然の一致だ。だって同じものであるはずがない。だけど似ている。父親が出先から持って帰ってきてくれたものと。
ほら、きれいだろう? お前の誕生日だからな。ああ、気にしなくてもいい。半端ものになってしまっていてとってもお得に手に入ったんだよ。すまんな、本当はちゃんとしたものを買ってやりたかったんだがな。でもいいものだろう? うん、大切にするね!…
「ティソナ?」
 不意に襲ってきた思い出に、ティソナは金縛りにあったように動けなかった。貧しいがささやかな幸せな日々が、ずっと続くと疑いもしなかったあの頃。こわばった手に、一滴、二滴、落ちてきたものにティソナは我に返った。なぜ涙が出るのだろう。あれは別に悲しい思い出じゃないのに。ああ、でもあのグラスはどうしたのだったろう。あの日家を出たときに置いたままになったのだったか。あのときまだ家にあったのか覚えていない。大切にしていたはずなのに。
「どうした?」
「いえ…なんでもありません」
 そっと顔をぬぐって、今ともにいる人に笑顔を向けた。大したことでもない。ふとしたところに垣間見える過去の欠片。砕けた欠片は胸を刺すけれど、底にしまっておこう。大切な宝物として。


---


「100質」の「隠し事」、「ない」って答えさせたつもりだったけど、書いてみて、あれ、これって「ある」って言っているのでは?という気になりました。「嘘」はつかないけど、言わないことっていうのはお互いきっとあるよね…と思って。

ガラス食器はこの時代は結構高価だったんじゃないかということで。

うーん、らぶらぶな話が書きたかったんだけどなあ。

 

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プロフィール
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MCBT
性別:
非公開
自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

何かありましたら
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まで(★を@に)。
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