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Posted by MCBT - 2011.05.27,Fri
※当サイト初見の方はこちらをご覧ください※

二人だけの出先(+オリキャラヒロイン)。でも色気なし。
「公」での上司と部下。
そんな日常。



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---


「今から出られるか」
 何もなかったはずの日。修練場にいたティソナに、聖衣姿のエルシドが声をかけてきた。急な任務が入るのは珍しいことではない。
「今日は他の三人は出払ってますが…」
「ならお前一人でいい」
「わかりました。すぐ用意してきます」
 ティソナは聖衣を身につけるとすぐ戻った。エルシドは聖域のはずれで待っていた。
「行くぞ」

 冥闘士が現れたとの通報があった。だが駆けつけるとその姿は見あたらず、壊された家と殺された一家の遺体が残っているだけだった。通りがかりの戯れに引き裂いたような、その跡。ティソナは唇をかみしめた。
「まだ近くにいるな」
 エルシドの言葉にティソナはうなずいた。隠身に長けているのか、周囲の野原や森の中には姿が感じられない。エルシドは周辺を探索しに離れていった。
 ティソナはその場に残り、ごくわずかな小宇宙でグリタリングサークルを発動させた。地面に現れた光の輪を少しずつ広げていく。右手の森の中で何かが引っかかった。
「そこか!」
 ティソナは振り向きざま、そちらへ飛び込んだ。一見したところ小山があるくらいで何もないが…。その小山がむっくりと動いた。これ全体…!
 のしかかるように振るわれる拳を地面に手をついて体を反転させながらよけ、ティソナは相手の背面に回った。自分の拳を相手の首筋に向けて打ち込む。
 冥闘士がこちらを向いて立ち上がり、腕を振り上げる。見上げんばかりの巨躯。外したか…?
 と、その動きが止まり、ぐらりと倒れかかってきた。その体に斜めに黄金の光の筋が交差して走り、四散する。
「こんなところにもいたとはな」
 エルシドが切り裂いた体の向う側から歩み寄ってきた。
「ありがとうございました」
「お前の上に倒れるのを防いだだけだ」
 聖闘士は基本的に一対一の戦いには手を出さない。ティソナの技は相手の首に決まっていた。
「他にもいましたか?」
「ああ、あちらの方に数人な」
 別れていたのはごく短い時間。大した物音も聞こえなかった。エルシドの聖衣とマントには返り血一つ付いていない。自分が倒したのはわずかに一人。ティソナは内心ため息をついた。

 エルシドがティソナの方を振り返った。
「お前の技は索敵にも使えたのか」
「やってみたのは初めてでしたけど、うまくいったみたいです」
「どのあたりまで広げられる。もう一度やってみろ」
「はい」
 ティソナは光の輪を作りだし広げていく。
「あのあたりが限界です」
 森のはずれの方を示す。
「結構広いな」
「でも、防御壁にすると…」
 地面に描かれた輪から光の壁が立ち上がる。その範囲がすっと狭まる。
「あと攻撃力を持たせると、さらに…」ティソナは肩を落とした。
「技に多様性があるのはいいことだ。あとはさらに磨きをかけることだ」
「はい」
「それと、いつも言っているが相手の方にむやみと飛び込んでいくな。動きの速さだけではかわせないこともあるぞ」
「はい…」
 エルシドに苦言を呈され、ティソナはうなだれた。
「次からは気をつけろ。…今日はよくやった。帰るぞ」
「はい」
 ティソナは顔を上げ、決意を新たにする。聖闘士としてまだまだ精進することは多い。この人とともに立つためには。


---


バトルものを書いていると恋愛ものが書きたくなる罠。その逆も。
と言いつつ、二人だけで出かけたけど全くらぶらぶがない話。「告白」「聖域」の章よりは後の設定ですが。
聖衣を着ているとき、エルシドがヘッドパーツをつけててティソナが仮面をしているときは、上司と部下の聖闘士として公私混同しない二人、というシーン。師弟じゃないけど、指導して物申す上司とその部下。
何となく書いてみたくなった、そんな普通のある日の出来事。

アニメのエルシドさんは部下の面倒をちゃんと見てるかな~。
何となく部下が勝手にくっついている感じもする。一人突き進んじゃうエルシドを案じて、少し人間的に幅を持たせるためにも、シジフォスとかが部下をつけたのかもしれないなとも。
格好いいけど、やっぱりあのエルシドさんとうちのエルシドさんは別人だよな~。

 

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プロフィール
HN:
MCBT
性別:
非公開
自己紹介:
8月20日獅子座生まれ。
2008年頃に、ひょんなことで車田正美の漫画『聖闘士星矢』にはまる。漫画を読了後、アニメもOVA・TV版・映画版と観て、ギガントマキア・ロストキャンバス・エピソードGなどのスピンオフ作品にまで手を伸ばす。
トータルでの最愛キャラは車田星矢の黄金聖闘士、双子座のサガ(ハーデス編ほぼ限定)なのだが、このところ何故かロストキャンバスの山羊座の黄金聖闘士エルシドにはまっている。全然タイプは違うのだが、格好良さに惚れた。
二次創作は読むことはあっても書くことはないと思っていたのだが(いやかつては読むこともしなかったのだが)、とうとう禁?を破ってこんなことに。
このサイトは二次創作に特化させた「エルシド別館」なので、ロストキャンバスの新刊の感想等はこちらの「本館」のブログのカテゴリー「聖闘士星矢」を参照されたい。

何かありましたら
mcbt★br4.fiberbit.net
まで(★を@に)。
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