「旧友（とも）」

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エルシド関係の我が家設定はありませんが、「乱」を受けての、「カノン島の客」の前日譚的なもの。
拍手お礼話として。
デフテロスとアスミタ。エルシド関係が絡まないのは初めてかも。オリキャラは出ません。

「カノン島の客」 、「聖域の平和な一日、あるいは闘技場の受難（３）」、「その後の双児宮」への拍手、ありがとうございました！
双子スキーの方でしょうか。ご満足いただけていれば幸いです。
 
「聖域の平和な一日、あるいは闘技場の受難（５）」への拍手（３打目！）も、ありがとうございました！
拍手がたくさん来て動揺しまくりです。

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「…何をしに来た」
　デフテロスは仏頂面で訪問者を迎えた。
「君がどうしているのか心配して来た――というのではいけないのかね？」
　アスミタはわずかに笑みを浮かべて答えた。
「信じられんな」
「君と話をしてみたいというのは本当だ。先日はお互い本意ではなかったからな」
「俺のどこが貴様の興味を引くというのだ？」
「君の強さ、と言えば納得できるかね？」
「俺が強い？」
　デフテロスは吐き捨てるように言った。自分は手遅れになるまで兄を止めることができなかった。兄の『闇』に気づくことができなかったというのに。
「より正確には、君の心の強さ、にだ。君はぎりぎりのところで止めることができた。あのような境遇に育ち、あのような目に逢いながら、なお『正義』が貫ける強さに」
　デフテロスは肩をすくめるだけで答えなかった。それもこの男の誘導がなければなせなかった。
「君はもっと他人と触れ合うべきだな。今からでもしないよりましであろう」
「貴様とか？」
「不足かね？」
　この男はこんなお節介な男だったのか？　聖域ではこもって瞑想ばかりしていると聞いていたが。
「まあ、よい。ところで教皇から君に書簡を預かっている。読み終わったら処分せよとの仰せだ。私は内容は見ぬよ」
「教皇の使い走りまでやっているのか？」
　デフテロスがあきれたように言ったが、アスミタはうすく微笑んだだけだった。自分でもやや意外に思っているのだった。ここまで他人に興味を持つ自分に。関わってしまった因縁もあるが、純粋にこの男がどれほどやれるのかに興味があった。教皇も驚いていたようだった。聖域とカノン島の、教皇とデフテロスのつなぎを自分が務めようと申し出たことに。
「使いのついでというわけではないのだがな」
「勝手にしろ。もう説教はごめんだ」
「今は親交を深めたいと言っているだけなのだがね」
　うさんくさそうにこちらを見るデフテロスに、アスミタは楽しそうに言った。さて、どのくらい経てばこの男は自分を『友』と思ってくれるようになるのやら。


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この関連の話では、教皇は後継者と目したデフテロスにいろいろ教皇となるべき知識を伝えている、という設定です。デフテロスが聖域に来ないので、アスミタが仲介を買って出ています。

アスミタさんはちょっと楽しそうだったよねー（12巻）。デフテロスも兄以外接する人あまりいなかったから人との対応に慣れていないせいか、ツンデレっぽくてかわいい。
「戦え　私の分も」って言われてたときの顔、すごーくきれいで好きだな。
いかん、やおいくさくなってきたぞ。
うちのサイト（学パラを除く）では、その手の展開は予定してないんですけど。